香害ってどんな害?
ある人には「いい香り」ですが、別の人には健康を損ないかねない「香害(こうがい」」……。
私たちの日常は様々な香りに満ちています。
人工的な香りが人に及ぼす害について考えてみました。
健康に有害な香りの害とは?
幼い子どもが庭に咲くバラの香りを「くさい」などと嫌がったというエピソードが以前、どこかの新聞で紹介されていました。
詳細は忘れてしまいましたが、その子どもは家で使っている芳香剤を本物のバラの香りと思い込んでいたというようなことが驚きを込めて書いてありました。
人工的に作られた香りが本物の香りを超えた証し的エピソードなのかもしれません。
フレグランスという言葉があります。
辞書を引くまでもなく、心地よい香りのする商品や芳香性化粧品などを総称する言葉であることは誰でも知っています。
香り商品がちまたに氾濫?
今ではこうした香り商品は日常生活のあらゆるところに広く深く浸透しています。
芳香剤に洗濯・食器用洗剤、柔軟剤、消臭剤、除湿剤はいうに及ばず、トイレットペーパーにテッシュペーパー、シールや消しゴム、扇子、絵具……なんでもありです。
香りの種類も、フローラル系、柑橘系、樹木系、ハーブ系など多種多様。
なかには猫の肉球の匂いのするハンドクリームまで市販されています。
多くの人が何気なく使っている数々の香り商品ですが、その香りによって健康に被害を受けている人がいるといいます。
「香害」は化学物質過敏症?
「香害」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
柔軟剤や化粧品、洗剤などに加えられた人工的な香りによって、頭痛や吐き気、めまい、動悸など、アレルギー疾患に似たような症状を引き起こすというものです。
「香害」という言葉も中身も、まだ一般の人の認知度は低く、ほとんど理解されていないらしいです。
「香害」はいわゆる造語で、化学物質過敏症といわれる疾患に該当するといいます。
今では一般に知られるようになったシックハウス症候群も化学物質過敏症です。
香害に悩む人がいることを知る?
柔軟剤、消臭剤などの香り商品のCMが頻繁に流され、おしゃれ、女性力アップ、かわいいなどといったことから、何気なくそれらを使っている人も多いことでしょう。
一方で、香害に悩む人がいるのも事実です。
電車で隣に座った人の衣類からの香料で気持ちが悪くなったとか、隣家の洗濯物の匂いがつらい、エレベーターの中で香料が……など、香害にまつわる話はメディアでもときどき取り上げられているようです。
どうすればいいのでしょう。
今すぐ香り商品を使わないようにしようというのはあまり現実的ではないかもしれません。
ただ、自分にはなんでもないことでも、それによって被害を被る誰かがいるということを知ることが、解決への第一歩になるのではないでしょうか。
<参考資料>
*「『香害』無理解にも苦しみ」(東京新聞2020.3.2)
*「香料による新しい健康被害も?化学物質過敏症?」(日医ニュースNo.508/企画:日本医師会)
<参考URL>
*「化学物質過敏症について」(宮城県)
https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/situkan/multiple-chemical-sensitivity.html