タバコは「吸う」から「嗅ぐ」へ?
改正健康増進法がついに全面施行され、屋内での喫煙は原則禁止ということに。そんななか法律の対象外となる新しいタバコが売り出されているらしいのですが……?
タバコは大人の普通免許だった時代?
町のあちこちでタバコの煙がのろしのように立ち上り、タバコを吸わないことが珍しいといわれていた昭和40(1965〜)年代、喫煙率はピークに達し、男性の80%前後はタバコを吸っていました。
飲食店や路上はもちろんのこと、企業のオフィス、映画館、電車・バスなどの交通機関、病院に役所、学校の職員室……ありとあらゆるところで、タバコ好きは誰憚ることなくプカプカ、プハーと紫煙をくゆらせていたのでありました。
いわばタバコは大人になった証しとでもいうような、喫煙にゆるい時代でした。
懐かしの喫煙列車も歴史の一部に?
それから50有余年、喫煙率は3割に満たず、タバコを吸うことが珍しい時代、喫煙氷河期になりました。
そして2020年4月1日、ついに全面施行される改正健康増進法によって屋内は原則禁煙になったのです。
愛煙家、わが世の春の終焉……。
それとともに長く親しまれた喫煙列車もJRと私鉄の線路から姿を消しました(一部の寝台列車には残っているようです)。
タバコを吸える列車がまだ走っていたことに驚く人も多いかと思います。
座席の肘掛け部分や座席の背面に灰皿が付いている喫煙列車ですが、かつては「列車でタバコ」は当たり前でした。
しかし1970年代後半頃から分煙意識が高まり、初の禁煙車両が登場したのでした。
煙もにおいもない「嗅ぎタバコ」?
新しい法律の施行によって屋内では吸えない紙巻きタバコや加熱式タバコに代わって最近、人気を集めているのが「嗅ぎタバコ」といわれるものです。
嗅ぎタバコは細かく刻んだタバコの葉を小さな袋に入れて口に含みます。
袋を頬の内側と歯肉の間に挟み、唾液によってタバコの葉から染み出たニコチンを飲み込み胃で吸収して楽しむらしいです。
紙巻たばこ特有の煙もにおいも灰も出ないので、まわりを気にせず屋内で使用できるのが人気の理由だとか。
改正健康増進法の適用外ということもあって、紙巻きタバコと加熱式タバコの代替品として注目されているようです。
それでも残る嗅ぎタバコへの不安?
嗅ぎタバコは紙巻きタバコによる副流煙などの心配はないのですが、使用する本人の健康への影響が気になります。
厚生労働省によると、「紙巻きたばこによる喫煙と同様に、発がん性や依存性といった健康への悪影響があり、特に、口腔がん、鼻腔がん等との関連が指摘」されているということです(「たばこと健康に関する情報ページ」より)
どんなタバコであれ、結局、タバコには有害性が付いて回るということなんですね。
<参考>
*「最新たばこ情報〜成人喫煙率(JT全国喫煙者率調査)」(厚生労働省)
*「喫煙列車消える」(東京新/2020.1.28)
*「たばこ 灰も煙も出さずに」(東京新聞/2020.2.18)
*「『噛みたばこ』、『嗅ぎたばこ』について」(厚生労働省)
*「禁煙・喫煙について」(JR東日本)