運動不足は健康寿命を縮める?
健康志向の強まりでふだんから運動している人がいる一方、ほとんど運動しない人がいるのも事実。たかが運動不足と侮るなかれ。寿命と深いかかわりがあるとも……。
世界トップレベルの長寿国ニッポン?
「平均寿命」はよく知られています。
0歳の赤ちゃんがその後、どれくらい生きられるかの平均を示した数値です。
男性は81.25年、女性は87.32年です(平成30年簡易生命表より)。
「平均余命」というのもあります。
こちらはある年齢から亡くなるまでの平均時間のことです。
25歳の男性の余命は56.74年、30歳なら51.88年、35歳では47.03年です。
女性の場合、25歳では62.70年、30歳なら57.77年、35歳だと52.86年です(平成30年簡易生命表/厚生労働省)。
平均寿命と健康寿命の差とは?
さらに「健康寿命」というのもあります。
平均寿命が健康かそうでないかを問わないのに対して、健康寿命は「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」(平成26年版厚生労働白書より)のことです。
男性は72.14年、女性は74.79年です(平成30年版高齢社会白書/内閣府)。
2つの寿命の違いに気づきませんか?
平均寿命と健康寿命の差に注目してください。男性で9.11年、女性で12.53年もの開きがあります。
単に長生きするのではなく、介護などを必要としない自立した生活を送るためには、健康寿命と平均寿命の差を縮めることが大切になってくるということです。
10分多く体を動かすとどうなる?
どうせなら「健康で長生き」を目指したいですよね。
どうすればいいのでしょう。
「+10(プラス・テン)」というがあります。
今より10分多く体を動かそうということを厚労省が提唱しています(寿命をのばそう! スマート・ライフ・プロジェクト/厚生労働省)。
10分の運動を歩数に換算すると約1,000歩。たとえば毎日の運動に、さらに10分間、歩くことを加えることで内臓脂肪を燃焼させメタボの改善につながるというのです。
たかが運動不足と侮ってはいけません。
運動不足は、不健康な食事、喫煙、過度の飲酒などとともに、非感染性疾患(NCDs=がんや糖尿病、循環器疾患、慢性呼吸器疾患などの総称)を引き起こす危険因子といわれています(厚生労働省「WHO Global Action Planについて」他より)。
運動はコツコツ、病気はジワジワ?
+10を毎日の生活に取り入れるとしたらどんな運動があるでしょうか。
たとえば朝のラジオ体操や散歩、通勤・帰宅時は自転車、早歩き、階段利用、一駅歩き、昼食は遠くの店まで歩く、仕事中は、こまめに動く、階段で移動、イスに座りながら軽い運動、買い物は歩く、そうじや洗濯はマメにする、帰宅後は植物の手入れに散歩、夜はテレビを見ながらのストレッチや筋トレ、軽い体操……など、体調に合わせて運動を組み合わせるのはどうでしょう。
毎日のコツコツが大きな健康貯金となる
ことでしょう。
若年層ほど「健康には自信あり」と、日ごろ健康を意識すらしないかもしれません。
しかし、物事にはすべてはじまりがあるように、病気にも多くの場合、原因となる悪しき生活習慣があるといわれます。
たかが運動不足、されど運動不足。はじまりはなんでもなくても、年齢を経て、糖尿病とか痛風、高血圧といった病気の原因になったりもします。
病気の芽はジワジワと少しずつ時間をかけて育っていると思われます。
高齢になって後悔しないためにも、いまから運動を!
<参考>
*「平成30年簡易生命表の概況」(厚生労働省)
*「平成30年版高齢社会白書」(内閣府)
*「あなたがつくる健康な未来」(公益財団法人武蔵野健康づくり事業団