腸が喜ぶ発酵食品で免疫力アップ?
みそ汁や漬けものなど、特に健康を意識しないで毎日食べているものですが、これらが体の免疫機能を向上させるのに役立っているといいます。なぜでしょう?
腸には免疫細胞の6割以上がある?
ある日、突然、スーパーの食品棚から納豆が消えるという事件というか出来事がありました。
ご記憶の方も多いと思います。
多くの人が次々と納豆をまとめ買いした結果、あっという間に売り切れたのです。
「納豆を食べると免疫力がアップする」というのがその理由でした。
本当なのでしょうか?
納豆やヨーグルトなどに代表される発酵食品を食べると腸内の環境を整えて、免疫力を向上させることはよく知られています。
「腸活」という言葉もよく聞かれます。
じつは腸の中には体の免疫細胞の6~7割が存在することが分かっています。
腸管免疫という言葉もあります。
感染症の流行期に納豆が売り切れた理由もうなずけます。
乳酸菌が病原体の侵入を防ぐ?
腸の中でも注目は小腸です。
例えばウイルスや細菌などの病原体が人間の体に侵入すると、小腸にある免疫細胞から分泌型IgAという物質が分泌されて、病原体の侵入を防ぐといいます。
この分泌型IgAは乳酸菌によって分泌が促されるということです。新聞に紹介されていました(東京新聞/2020.4.17)。
乳酸菌などが含まれる発酵食品にはどんなものがあるでしょう。
よく知られている発酵食品として、ヨーグルト、乳酸菌飲料などの乳製品、みそ、しょう油などの調味料、ぬか漬け、キムチなどの漬物類の他、塩辛、くさやなどがあげられるでしょう。
小腸はもっとも頼れる臓器?
小腸にはがんの発症が少ないということをご存知でしょうか。
欧米では10万人当たり年間で0.22人~0.57人の発症率だそうです。
10万人当たり1年で6人未満しか、がんにならないという計算になります。
「国立がん研究センター 希少がんセンター」のホームページに出ていました。
これも小腸の高い免疫機能のおかげといえそうです。
小腸は、全長が大人で4~6メートルほどもある臓器で、広げるとテニスコート4分の1にも相当する面積だといいます。
小腸は最大の臓器にして、最高の免疫機能の持ち主ということになります。
もともと小腸には食べ物を消化して栄養を吸収するという大事な役割があります。
腸内を通過する様々なものの中から、体に有害な異物を排除するためには、強い免疫力を備える必要があったというのです。
名前は「小」でも役割は大きい小腸なのでした。
<参考>
*「腸活で免疫力向上」(東京新聞/2020.4.17)
*「知ってなっとく からだの疑問」(小学館)
*「小腸がん」(国立がん研究センター 希少がんセンター)