体の水分は呼吸でも失われる?
「夏のマスク」はこれからの新しい生活習慣として根付くのでしょうか。
夏にマスクをかけることによる熱中症のリスクが、さまざま議論されています。
体の大半が水でできている人間の熱中症対策について考えてみました。
2割の水分が失われると命の危機
熱中症の予防には、まず水分の補給が大切といわれます。
体内の水分が失われるとさまざまな障害を引き起こすといわれます。
ある製薬会社のHPによると、体から2〜3%の水分が失われると、のどの渇き、ぼんやりしたり食欲不振を引き起こし、4〜5%になると肌の紅潮、尿量の減少や頭痛、強い疲労感、めまいなどの脱水症状が現れ、8〜10%になるとけいれんなどを起こし、20%が失われると死に至るそうです。
人間の体は6割以上が水分
人間の体は大人の場合、約60〜65%が水分といわれます。子供の場合は約70%が水分だそうです。
水の惑星に住む水の生物ともいえるかもしれません。
さらに血液の量は体重の13分の1だそうです。
大手飲料メーカーのHPに紹介されていました。
例えば体重が50kgの人なら30〜32.5kgが水で、3.8kgは血液になります。
食べ物以外の水が1,500ml必要?
人間は1日にどれだけの水分が必要なのでしょうか。
食べ物で約600〜1,000ml、体の中でできる水(代謝水とか燃焼水)が約200〜300mlといわれます。
この他に食事以外でとりたい水分量は1,200〜1,500mlといわれます。
ただ、仕事や運動などで汗をいっぱいかいた場合は、当然もっとたくさんの水分を補給する必要があります。
呼吸するだけで400mlの水を失う?
では体の外に出る水の量は1日あたりどれくらいなのでしょう。
まず尿や便で約1,300〜1,600ml排出されるそうです。
さらに汗などとして皮膚から外に出る水が約600mlといわれます。
そして呼吸で排出される水が約400mlあるそうです。
運動して呼吸数が上がれば失われる水分量も増えるということでしょうか。
この呼気による水の排出は意外に知られていないようですが、生ビール中ジョッキほどの水分が毎 日、呼吸によって失われているんですね。
マスクの着用で熱中症リスク増大?
呼気による水分の排出以外にも、呼吸には体温を調節する役割もあるといわれます。
外の冷えた空気を取り込んで体温を調節するという働きです。
でも夏にマスクをすることによって熱がこもり、温かい空気を吸い込むことになり、体を冷やすことができず、体温を上昇させる心配もあるようです。
マスクが湿り気を与えるので渇きを感じにくくなるという不安の声もあります。
厚生労働省も「マスクの着用で、熱中症のリスクが高くなるおそれがある」と警告しています。
「夏でもマスク」は新しい生活習慣?
マスクをした場合の熱中症対策として厚労省は「屋外で人と十分な距離(2m以上)が確保できる場合にはマスクをはずす」としています。
またマスクをしたまま「強い負荷の作業や運動は避け、こまめに水分補給を心がけるように」して「周囲の人と距離を十分にとれる場所で適宜、マスクをはずして休憩する」としています。
いずれにしても外ではマスクをするのが基本のマナーであることは変わらないようです。
「夏のマスク」は新しい生活習慣として根付くかもしれません。
<参考>
*「令和2年度の熱中症予防行動について」(厚生労働省)
*「出ていく水ととりこむ水」「体の中の水の量はどのくらい?」(サントリー)
*「もしも身体の水分がなくなったら」(大塚製薬)
*「体の中の水がなくなるとどうなる?」(北見市)