プラスコラム
PLUS COLUMN

お酒と上手に付き合うために知っておきたい「酔いのしくみ」

コロナ禍では、「おうち飲み」を楽しんでいる人も多いかと思います。

「なんだか、ほんわか、いい気持ち~」

こんなとき、体の中ではどんなことが起こっているのでしょう。

 

酔っぱらいは脳がマヒした状態!?

 お酒を飲むと、アルコールは胃や小腸から吸収され、肝臓で代謝されます。

分解しきれなかったアルコールは、そのまま心臓に送られ、脳や全身に運ばれるそうです。

アルコールが脳に到達すると、脳をマヒさせます。

これが酔っぱらった状態なのだそうです。

 

理性や感情の抑制がとれると……

 大脳は、すべての活動の司令塔であり思考、判断、記憶、創造、感情などいわゆる人間らしい精神活動に大きく関係しています。   

 アルコールがこの大脳に到達し、最初に作用するのは、理性や感情、人間の思考などを制御している前頭葉だといわれています。

 酔っぱらうと大声でしゃべったり、騒いだり、気が大きくなって大言壮語したり、自慢話や下ネタを連発したりと、人がかわったようになる人がいますが、これはアルコールの影響で前頭葉の機能がマヒして、いわゆる抑制がとれた状態だそうです。

 人は酔っぱらうと、ふだん抑えられた感情を解き放つことができるので、幸せな気分にひたれますが、一方で暴言を吐いたりして周囲から引かれてしまうことも……自分の酔いの程度を知っておくことが大事なようです。

 

千鳥足になる理由

 アルコールの作用で理性や感情の抑制がとれたあとは、小脳の機能に影響を及ぼすといいます。

 小脳は運動機能の調整をしているといわれています。

 そのため、アルコールの作用が小脳にまで及ぶと、まっすぐに歩けずに千鳥足になってしまうのです。

 

危険な飲み方に注意

 酔いがすすんで記憶を司る海馬(かいば)にまで影響が及ぶと、まともに立てなくなったり、記憶がなくなるいわゆるブラックアウトを起こしたりします。

これが泥酔と呼ばれるものです。

 さらに飲酒が進み、脳全体にマヒが及ぶと、呼吸困難に陥り、最悪の場合には死に至る危険性もあるそうです。

無理な飲酒は、非常に危険な状態に陥ることを認識しておきましょう。

 

楽しく飲めるのは「ほろ酔い期」まで

 いかがでしたか?

段階を踏んで酔いの状態を見ていきましたが、お酒が楽しく飲めるのは「爽快期(ビール:中瓶~1本、日本酒:~1合、ウイスキーシングル~2杯ほどが目安)」から「ほろ酔い期(ビール:中瓶1~2本日本酒:1~2合、ウイスキー:シングル3杯ほどが目安)」までだといわれています。

 

「適飲」ってどのくらい?

 また、厚生労働省は「健康日本21」の中で「節度ある適度な飲酒」、1日平均純アルコールで20g程度としています。

20gとは、おおよそ「ビール中瓶1本」「日本酒1合」「チュウハイ(7%)350mL缶1本」「ウィスキーダブル1杯」などに相当するそうです。

女性や高齢者、飲酒後に顔面紅潮・吐き気・動悸・眠気・頭痛などが起こる人は、これよりもさらに飲酒量を少なくすることを推奨しています。

「お酒は飲んでも飲まれるな」という言葉もあります。

お酒が好きな人は、なおさら「適飲」を意識して、お酒をおいしく楽しく飲みたいものですね。

 

<参考>

*『予防と健康の事典」(小学館)

*「お酒と健康」(アルコール健康医学協会)

*e-ヘルスネット「飲酒のガイドライン」(厚生労働省)

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。