プラスコラム
PLUS COLUMN

アルコール×タバコは危険!

喫煙者にとってお酒とタバコは切っても切れないもの。

でも気をつけて。

お酒とタバコの組み合わせには大きなリスクがあるようです。

 

がんなどのリスクが跳ね上がる!?

 喫煙者にとって、お酒とタバコは最高のコンビ。

 この2つの組み合わせで心からリラックスできるという喫煙者も多くいます。

 けれども、タバコに含まれるタールはアルコールに溶けやすい性質をもっているといわれています。

お酒の飲み過ぎと喫煙は、それぞれがんのリスクがあることが知られていますが、タバコ×アルコールの組み合わせによって、がんのリスクがぐんと跳ね上がることをご存じでしょうか?

 

飲酒量が多い喫煙者は特に注意

 40~69歳の日本人約9万6,000人を対象とした多目的コホート研究「JPHC研究」でタバコ×アルコールの組み合わせは口腔・咽頭がん発症リスクを上昇させることがわかっています。

 研究によると、喫煙者で飲酒量の少ないグループ(週に150グラム未満のエタノールを摂取)は、タバコを吸わない(非喫煙者)で飲酒量の少ないグループに比べ、口腔・咽頭がん罹患リスクが1.8倍増加したとしています。

 また飲酒量が多い(週に150グラム以上のエタノールを摂取)がタバコを吸わないグループは口腔・咽頭がん罹患リスクが2.1倍に。

さらに飲酒量が多い喫煙者グループの罹患リスクは、飲酒と喫煙の影響が足し合わさり、なんと4.1倍にも跳ね上がったそうです。

「日本人における口腔・咽頭がんの予防のためには、喫煙せず、飲酒量を控えることが重要であることが再確認された」と研究報告を結んでいます。

 

禁煙チャレンジ中は酒席を避けよう

 ところで、せっかく禁煙していたのに、お酒を飲んだら「1本くらいいか」とついタバコを吸ってしまった経験はありませんか?

 タバコはアルコールへの欲求を高めるといわれているのでご用心。

 禁煙してからしばらくはお酒の席には出ないように、と専門家はアドバイスしています。

 

タバコを吸いたくなるのは脳の錯覚

 飲み会の帰りにシメのラーメンを食べたくなるのと同様に、お酒を飲むとタバコを吸いたくなるのもアルコールによる脳の錯覚だといわれています。

禁煙中の人にとってお酒は大敵。

どうしても酒席に参加しなければならないときは、いつも以上に強い意志を持つことが必要のようです。

繰り返しになりますが、飲酒と喫煙が合わさると、負の相乗作用が働いて、がんリスクが跳ね上がることを肝に銘じておきましょう。

 

<参考>

*「喫煙、飲酒と口腔・咽頭がん罹患リスクについて」(多目的コホート研究 国立がん研究センター 社会と健康研究センター予防研究グループ)

*「飲酒、喫煙と循環器病」(国立循環病研究センター 循環器病情報サービス)

*「アルコール(お酒)と禁煙失敗」

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。