プラスコラム
PLUS COLUMN

その鼻血の対処法、間違っていない?

空気が乾燥しやすい時期は鼻血が出やすくなるといいます。

突然の鼻血——こんなとき、あなたはどう対処しますか?

 

冬は鼻の中も乾燥する

 冬は、空気が乾燥してお肌がカサカサになりますが、鼻の中も同様です。

鼻粘膜が空気の乾燥によって弱くなって傷つくと、細く小さな血管が切れて鼻血が出ることがあるそうです。

 空気の乾燥のほかにも、季節の変わり目など気温の差が大きいときも鼻血が出やすいといわれています。

 

ほとんどは鼻の入り口近くからの出血

 鼻血のほとんどは、鼻の入り口から1cmほど中に入った「キーゼルバッハ部位」からの出血。キーゼルバッハ部位は、血管がたくさん集まっている上に薄い粘膜でできているために指で引っかいたり鼻をかむなどちょっとした刺激で出血しやすいそうです。

 

誤った対処法をしていませんか

 一般にキーゼルバッハ部位から出る鼻血のほとんどは、あまり心配のないことが多いとされています。

とはいえ、鼻血が出るとあわててしまいますよね。

みなさんはどんな止血法をしていますか?

 よくやりがちなのが、丸めたティッシュペーパーを鼻の穴に詰める方法。

 でもこの方法に止血効果はなく、ティッシュペーパーを詰めることで鼻粘膜を傷つけて傷口を広げてしまうことがあるそうです。

 また、頭を反らせて後ろをとんとんと叩く方法は、血液がのどの奥に流れ込んで、飲みこむと吐き気が出ることがあるそうなので要注意。

 これらの方法は、誤った対処法であるばかりか、かえって出血がひどくなることもあると専門家は指摘します。

 そのほか、「上を向く」「仰向けで寝る」なども、鼻血がのどに流れやすくなるので注意して。

 また、鼻を冷やすといいという人もいますが、鼻を冷やしても鼻血は止まらないそうです。

 

止血法を行っても止まらない場合は迷わず受診

 鼻血が出たときは、まず気持ちを落ち着けて椅子などに座り、顔を少しうつむきかげんにして、出血している側の小鼻を指で押さえ止血する方法がよいといわれています。

 鼻血が止まればそのまま様子をみます。

20分ほどたっても鼻血が止まらない場合や、出血量があきらかに多い場合、顔が青ざめている場合などは、速やかに医療機関へ受診することがすすめられています。

また、何度も鼻血を繰り返すときなども、病気が隠れていることがあるそうですから、耳鼻咽喉科を受診して原因をはっきりさせることをおすすめします。

 

チョコレートやナッツの食べ過ぎで鼻血?

 ところで、昔からよくチョコレートやナッツを食べると鼻血が出るといわれていますが、これも都市伝説で医学的な根拠はないといわれています。

 食べ過ぎを戒めるために、そういわれていきたのかもしれませんね。

 

<参考資料>

*「きょうの健康」(NHK出版 2020年3月号)

*子ども医学館(小学館)

*やさしい耳鼻咽喉科講座(日本耳鼻咽喉科学会広島地方部会)

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。