
リモートワークで心配される「座りすぎ」のリスク
新型コロナウイルスの感染拡大で、再びテレワークに戻っているオフィスワーカーも多いかと思います。
テレワークで自宅にこもっていると、「ストレスがたまる」「運動不足が気になる」という声を多く聞きます。
でも、それ以上に「座りすぎ」による弊害も問題のようです。
1日何時間座っている?
在宅勤務になったために、通勤の必要がほとんどなくなり、家の机にほとんど座りっぱなしということはありませんか?
オフィスに出社していたときには、通勤やランチ、オフィス内の移動など、知らず知らずのうちに歩数を稼いでいるものです。
けれども在宅勤務では、キッチンやトイレに立つくらいであとは座りっぱなしで仕事をしている人も少なくありません。
オフの時間は、座って食事をしたり、スマホを見たり……気がつくと1日12時間以上座っているという人もいるようです。
実際、筑波大学大学院と健康機器メーカーのタニタが共同で行った都内の企業の社員100人を対象に行った調査では、テレワークによって1日の歩数がおよそ30%減少したという報告もあります。
座りすぎは喫煙並みのリスクがある??
近年は、この座りすぎによる健康リスクが問題になっています。
例えば、座りすぎは肥満や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病、がん、心筋梗塞などの発症のリスクを高めることが指摘されているそうです。
また、1日に座っている時間が11時間以上の人は、4時間未満の人と比べて死亡リスクが40%も高まるという報告も。
さらに WHO(世界保健機関)によれば、「座って動かない生活は、世界で年間200万人の死因になる」という発表もあり、座りすぎは飲酒や喫煙と同じくらい健康を損うリスクがあるといわれています。
メンタルにも悪影響を及ぼす可能性があるなど座り続けの生活は、私たちが思っている以上に大きな弊害がありそうです。
日本人は世界一座りすぎている
オーストラリアの研究グループの調査によると、日本人が平日座っている時間は1日7時間。世界20カ国中で最も長いことがわかっているそうです。
加えて新しい働き方であるテレワークの普及によって、座っている時間がますます長くなっていると考えられます。
心も体も健康に過ごすためには、座りすぎない工夫が必要のようです。
30分に1回ブレークタイムを
座りっぱなしを防ぐために、専門家は30分に一度は立って歩き回ることをすすめています。
30分に1度立ち歩くことはオフィスでは実行しにくいという人も、在宅勤務ならトイレに行ったり、お茶を飲んだり、ストレッチをしたり、と手軽に体を動かせそうですね。
ダラダラとパソコンに向かっているよりも、30分に1回、思い切ってブレイクタイムを設けたほうが、仕事の能率もアップしそうです。
立って仕事をするためのオフィス環境を整えている企業もありますから、自宅でも昇降式の机や作業台にパソコンを置いて、立ったままパソコンに向かうのも一案です。
不自由なことも多いテレワークですが、テレワークだからこそできるプラス面にも目を向けて、座りすぎを防ぎたいものですね。
<参考>
*「日本人の座位時間は世界最長「7」時間 座りすぎが健康リスクを高める。あなたは大丈夫? その対策とは…(スポーツ庁 WEB広報マガジン)
*「新しい生活様式において、体を動かす工夫」(e-ヘルスネット 厚生労働省)
*「テレワークで1日の歩数30%減少 運動不足による健康影響懸念」(NHKニュースWEB 2020/4/16)