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受動喫煙でも、虫歯のリスクが上昇する?
タバコを吸う人にとって気になるのが、歯についたヤニ汚れと口臭。
でも、それだけではありません。喫煙は虫歯や歯周病のリスクをあげ、さらには、周囲の人の歯の健康まで脅かしてしまうようなのです。
喫煙は、歯を失うリスクを上げる
タバコには、数千の化学物質が含まれています。
そのせいで歯にヤニの汚れがつきますが、喫煙自体も歯の黄ばみの原因となり、歯の黄ばみを定着させてしまうそうです。
また、タバコは歯ぐきの血流を悪くするために歯周病の原因にもなり、虫歯のリスクも上げてしまうことが知られています。
原因としては、➀唾液の量が減ってしまうため、唾液のもつ唾液に殺菌作用や抗菌作用、自浄作用が弱くなってしまう、(2)口腔内の抵抗力が下がってしまう、(3)ヤニがつくとそこにプラーク(歯垢)がたまりやすくなるうえ、喫煙により歯周病が進行すると、歯肉が下がり汚れがたまりやすくなる、などがあげられるそうです。
歯を失う大きな原因は、歯周病と虫歯。喫煙は、この2大リスクを同時に上げてしまうものなのです。
子どもの受動喫煙と虫歯の関係
また親が喫煙者で子どもが受動喫煙していた場合、虫歯のリスクが上がることがさまざまな研究調査からあきらかになっています。
たとえば、京都大学のグループによる乳歯の虫歯と家庭内での受動喫煙の関係に関する調査では、家族に喫煙者がいる子は全体の55.3%おり、家族に喫煙者がいない子に比べて虫歯になる可能性が1.46倍になった。特に、面前で吸われる環境にあった子では2.14倍に高まるという結果になりました。
さらに最近では、岡山大学院の研究グループが家庭で十年以上受動喫煙にさらされた若者は、受動喫煙のない若者と比べて1.5倍虫歯になりやすいことをあきらかにしました。
受動喫煙による子どもの健康被害も深刻
受動喫煙による子どもへの影響は、虫歯の発症だけにとどまりません。ぜんそくや呼吸器疾患、中耳炎などを引き起こし、乳幼児突然死症候群が発生する率が高くなることが指摘されています。
子どもの成長や知能の発達にも悪影響を及ぼすこともあきらかになっているそうですから、親の責任は重大です。
大切な人の健康を脅かさないために
タバコの副流煙や受動喫煙はタバコを吸う意志のない人が、やむを得ず体にとり込んでしまう煙でもあります。
家族に気を使って、自宅ではドアを閉めて屋外で吸ったり換気扇の下で吸っている人もいるかと思います。けれども、そうした努力をしてもタバコの煙を完全にシャットアウトできないといわれています。
「自分の体なんだから、吸おうが吸うまいが自由じゃないか」という考えもあるでしょうが、喫煙は家族やパートナー、友人、知人に、否応なく健康被害を及ぼすことをあらためて考えてみてはいかがでしょうか?
<参考資料>
*e-へルスネット「受動喫煙 他人の喫煙の影響」(厚生労働省)
*「タバコから子どもを守ろう」(日本小児科学会)
*「タバコとお口の関係」(日本歯科医師会)
*「歯周病とタバコの関係」(日本臨床歯周病学会)
「家庭で10年以上受動喫煙にさらされた若者は虫歯になりやすい!」(岡山大学プレスリリース)