アルコールのグラム表示でわかりやすくなる、適正飲酒量
お酒は「百薬の長」とわれていますが、飲み過ぎればアルコール依存症や生活習慣病、がんなどのリスクを高める「万病のもと」になるといわれるようになりました。
適度なお酒の量がわかりやすくなるよう、酒類の業界団体がアルコールをグラム表示にしていくという報道がありました。
知っておきたいアルコールのリスク
コロナ禍で家にいる時間が長くなると、酒量が増えてしまうという声を聞きます。
アルコールは適量を楽しむのであれば健康に良いという研究もありますが、一方で、日本人を対象としたさまざまな研究から、アルコールを多量に飲むことで全がん及び食道がん、大腸がん、乳がんのリスクが高まることは確実であるとされています。
また、多量飲酒は肝障害、膵炎、脂質異常症、高尿酸血症、高血圧症などの生活習慣病を引き起こすことも知られています。
適正な飲酒量って?
そこで、酒の好きな人にとって気になるのがお酒の適量です。
厚生労働省の示す「節度ある適度な飲酒量」は、1日平均純アルコールで約20g程度であるとされています。
また、女性や高齢者、飲酒後に顔面紅潮・吐き気・動悸・眠気・頭痛などフラッシング反応を起こす人は、これより飲酒量を少なくすべきであるとしています。
酒に含まれる純アルコール量を知る
アルコールはその種類によって含まれるアルコール度数が異なるため、1杯の中に含まれる純アルコール濃度がそれぞれ違います。
そこで、通常、純アルコール量はグラム(g)で表されます。
純アルコールは以下の計算式で算出できるそうです。
お酒の量(ml)×〔アルコール度数(%)÷100〕×0.8=純アルコール量(g)
たとえば、日本で販売されているビールのアルコール度数は平均5%。ビールロング缶(500ml)1本に含まれる純アルコール量は、500×[5÷100]×0.8=20gになります。
がんをはじめとするさまざまな生活習慣病を予防しようとするなら、1日の適量は、ビールであればロング缶(500ml)1本程度に控えたほうがよさそうです。
アルコールをグラム表示に
酒類は酒税法の関連法でアルコールの度数を容器表示することが義務づけられているそうです。
でも、500mlの缶ビールに、アルコール度数が5%と書かれていても、にわかにわかりにくく、いちいち計算して「適性飲酒量」を出すのは面倒ですよね。
そこで、アルコール摂取の目安を分かりやすくするための表示の見直しがすすめられているようです。
新聞などの報道によると、政府は酒類業者に対して、酒に含まれるアルコール量について、従来の度数だけでなく、グラムで量も表示する方向で調整しているそうです。
これを受けて種類大手の各社は、種類の容器に含まれるグラム量をウェブサイトなどで開示するなどの取り組みをはじめています。将来的には種類の容器にグラム量が記載される見込みだといいます。
摂取の目安がわかりやすくなる
こうした取り組みの背景には、ストロング系の缶酎ハイなどの度数の高いアルコール人気から、適正量を大きく超えた飲酒に対する危惧があるようです。
缶酎ハイは飲み口がよいので、つい飲み過ぎでしまいがちですが、アルコール量のグラム表示があれば、「今日はこのへんで……」と切り上げる目安になりそうですね。
<参考>
*「アルコール「量」も表示へ」(毎日新聞 2021/3/3)
*「科学的根拠に基づくリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」(国立がん研究センター 社会と健康研究センター)
*「飲酒の基礎知識」(アルコール健康医学協会 ホームページ)