他人事じゃない「男の骨粗しょう症」
骨がスカスカになってしまった状態になる病気を骨粗しょう症と言います。
骨がもろくなっているので、ささいなことでも骨折してしまいます。
骨粗しょう症といえば、女性の病気のイメージが強いようですが、男性のも少なからず発症するそうなのです。
骨密度は加齢とともに減少
骨の強さと関係すると言われるのが骨密度。骨密度は、男性も女性も20歳ごろが最大量のピークになるそうです。
ピーク後は、加齢に伴って徐々に低下していきます。
女性の場合は、閉経を機に女性ホルモンの減少と同様のスピードで骨密度が急激に減少していくことが知られています。
健康であっても、多くの女性は70歳代になると骨粗しょう症になるといわれています
骨粗しょう症患者の4人に1人が男性!?
男性の中には、骨粗しょう症は「女性がなる病気。自分とは関係のない話」と思い込んでいる人が多いようです。
けれども、男性は女性ほど急激に骨密度は減らないものの、年齢を重ねればやはり骨密度が減少して骨粗しょう症が起こります。
骨粗しょう症の患者さんの実に4人に1人が男性であるとされています。男性の骨粗しょう症患者は、案外身近にいるのです。
生活習慣病や薬剤の影響
女性の骨粗しょう症は、加齢や女性ホルモンの減少が大きな要因とされていますが、男性の場合は、ちょっと違うようです。
男性は、加齢に加えて糖尿病やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの生活習慣病、胃腸疾患などの病気やステロイド剤やSSRI(抗うつ薬の一つ)といった薬剤の影響などにより、骨質が低下して骨粗しょう症を生じることが多いとされています。
また、女性と同様に過度なダイエットによる栄養不良や運動不足も、骨粗しょう症のリスクをあげてしまうようです。
困ったことに、男性の骨粗しょう症は、骨折や死亡リスクなどが、女性より深刻なことが多いといわれていますから、可能な限り回避したいものですね。
中高年からは「他人事」ではなく、「自分ごと」として考えて、男性も積極的に骨の健康対策を講ずることをおすすめします。
宇宙飛行士の骨量が減少する理由
骨粗しょう症予防の対策は、運動と丈夫な骨をつくるための食生活が大切なポイントだと言われています。
ご存知の方も多いかも知れませんが、宇宙に滞在する宇宙飛行士は骨量が減少することが知られています。
骨は体に衝撃が加わることで、つくられる仕組みになっているのですが、無重力の宇宙では体に衝撃が加わらないからです。
したがって、骨を強くするには水泳やサイクリングよりも、体に衝撃が加わるジョギングやウォーキング、ジャンプ動作が入る運動が適しているといわれています。
おすすめはウォーキング
いきなり運動は敷居が高いという人は、日常生活で気軽のできるウォーキングがおすすめです。
のんびりウォーキングより大股で速めのスピードで歩く、リズミカルなウォーキングが良いとされています
食事と屋外活動も大事なポイント
丈夫な骨をつくるためには食事も大事なポイントです。
牛乳などの乳製品や小魚、緑黄色野菜などカルシウムたっぷりの食材とともにカルシウムの吸収を助ける働きのあるビタミンD(鮭やキクラゲなどのきのこ類)や骨をつくるのを助けるビタミンK(納豆など)も積極的にとりたい食品だといわれてます。
インスタント食品はできるだけ避けて、洋食や丼物よりも和食を中心とした食事を心がけて、バランスよくいろいろな食品をとっていくと良いようです。
また日光を浴びることで体内のビタミンDが生成されることがわかっていますから、屋外での活動を増やすことも心がけましょう。
骨粗しょう症なんてまだまだ先のことと思わずに、バランスの良い食事とウォーキングを心がけて、今からコツコツ「骨太生活」を続けてみませんか?
<参考>
※『きょうの健康』(NHK出版 2121年7月号)
※「男性の骨粗しょう症」(健康プラザ 日本医師会)