
感染予防はアルコール消毒だけで十分?
飲食店やスーパーの入り口で、職場で、自宅で……新型コロナウイルス感染対策として、日常のあらゆるシーンで手指の消毒が定着しました。
これで感染対策はばっちり、と思っている人も多いのではないでしょうか?
でもアルコール消毒だけでは効果のないウイルスもあるそうなのです。
ご用心。ノロウイルスの流行期。
最近、ノロウイルスの患者数が徐々に増えているというニュースを耳にしました。
ノロウイルスとは、感染性胃腸炎の原因として知られるウイルス。例年11月から2月に流行して、下痢や嘔吐、初熱などを引き起こすそうです。
感染性胃腸炎には、いくつか原因となるウイルスがありますが、中でもノロウイルスは感染力が強く少量のウイルスで発症するといわれています。
そのため保育園や幼稚園、小学校、高齢者施設など集団生活を送る場で、爆発的な流行が起こることが知られています。
ノロウイルスは、年齢を問わず感染し、通常は2~3日で回復するそうですが、免疫力の弱い乳幼児や高齢者は脱水症状を起こしたりして、注意が必要だといわれています。
トイレも感染源に
ノロウイルスに汚染された食べ物(おもにカキやアサリなどの二枚貝)を十分に加熱せずに食べて感染するほか、感染者が調理した物を食べたり、患者が吐いた物を処理したりして、人から人に感染が広がるケースが多いことが知られています。
また感染者の排泄物にもノロウイルスが大量に含まれている可能性があり、トイレも感染源になるといわれています。
でも新型コロナウイルス感染予防で、アルコール消毒が日常の習慣に定着しつつあります。
それなのに、なぜ、ノロウイルスの患者さんが報告されているのでしょう?
アルコール除菌では効き目が薄い!?
コロナウイルス感染予防対策として、手洗いやアルコール除菌が励行されていますが、最近は慣れがあったり手荒れが気になることもあり、手洗いはパスしてアルコール除菌だけという人も少なくないようです。
専門家によると、アルコール除菌は新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスには有効だそうですが、ロタウイルスやノロウイルスなどの感染性胃腸炎の原因になるウイルスにはあまり効き目がないのだそうです。
つまり感染性胃腸炎の原因ウイルスに対しては、アルコール除菌をしているから予防対策は万全、ということにはならないといいます。
人から人へ、手を介してうつりやすい
ウイルスの感染は飛沫感染や空気感染などさまざまなものがありますが、中でも多いのが手を介した感染だそうです。
ウイルスが付いた手で、ドアノブや電車のつり革など触れるとそこにウイルスが付着します。他の人がそれを触るとウイルスが手に付着し、その手で口や鼻を無意識に触ることで感染が起こるといわれています。
初心に帰って、手洗いをしっかりと
新型コロナウイルスの感染者数が低い数字で落ち着いてくると、なんとなく気持ちも緩みがちです。
でも、新型コロナ感染者数の増加におびえていたあの頃の気持ちに戻って、外出から戻ったときや会社の出社時、食事の前、トイレから出たあとなどは、とくにしっかり手洗いすることをおすすめします。
<参考>
※「ノロウイルス等の感染性胃腸炎にご注意ください!」(東京都)
※「神奈川県全域にノロウイルス警報 予防対策呼び掛け」(神奈川新聞/2021.12.6)
※「感染性胃腸炎(ノロウイルスなど)の季節到来!」(東京都健康安全研究センター)
※「ノロウイルスに関するQ&A」(厚生労働省)
※「アルコール消毒の盲点? 増える感染性胃腸炎」(NHK NEWS WEB/2021.12.1)