
世界の糖尿病人口は4億人越え?
誰でも知っている病気で、もっともかかりたくない生活習慣病といえば?
……糖尿病だそうです。糖尿病は脳梗塞や心筋梗塞など、命にかかわる深刻な合併症をともなう怖い病気で、世界的にも増加の傾向があるそうです。
そんなもっとも有名な病気の1つである糖尿病について考えてみました。
尿が砂糖のように甘い匂いの病気?
糖尿病はひと言でいえば「血液中の糖の値が高い病気」ということです。
糖尿病はずっと昔から知られていた病気だそうで、世界史的にはエジプトにピラミッドが建設された頃といわれ、日本では平安時代には糖尿病についての記述があるそうです。
当時は、まだ血糖値を測る方法を知らない時代ですから、尿が砂糖のような甘い匂いがする病気(つまり糖尿病)として知られていたようです。
そんな歴史ある糖尿病ですが、現在、世界で4億6300万人もの糖尿病患者がいるといいます(世界保健機関/WHO、国際糖尿病連合/IDF・2019年)。
日本では約2000万人もの人が糖尿病かその予備軍といわれます(国民健康・栄養調査など)。
なんと総人口の約17%、6人に1人が糖尿病かもしれないということになります。
糖尿病が「国民病」と呼ばれるのも納得です。
脳梗塞は12倍、心筋梗塞は14倍のリスク?
糖尿病には子どもや若い人に多く生活習慣とは無関係のI型糖尿病と、肥満や運動不足などの生活習慣が原因のII型糖尿病があります。
日本ではI型は比較的少なく、糖尿病の大部分はII型が占めているといわれます。
そんなことから一般に「糖尿病」というとII型糖尿病をさすことがほとんどです。
そんなII型糖尿病ですが、高血糖状態が続くとさまざまな合併症を引き起こすことがよく知られています。
網膜症や腎症、神経がおかされる神経障害などが起こってきたり、脳梗塞や心筋梗塞、足の壊疽、がんなどを発症したりするといわれています。
糖尿病の人とそうでない人の脳梗塞、心筋梗塞のリスクを比較した調査(日本医師会総合政策研究機構2016年時点の調査)によると、40〜64歳では、糖尿病患者の脳梗塞リスクは、そうでない人の約12倍、心筋梗塞リスクは約14倍だったという報告があります。
サイレントキラーとは糖尿病の別名?
あなたのもっともかかりたくない病気はなんですか?
(一社)日本生活習慣病予防協会がインターネットで行った調査(2021年3月)によると「かかりたくない生活習慣病」のダントツ1位は糖尿病(42.6%)でした。
以下、メタボリックシンドローム(6.7%)、高血圧症(5.8%)、内臓脂肪型肥満(4.8%)、脂質異常症(4.0%)という結果でした。
糖尿病は自覚症状があまりないまま進行することから「サイレントキラー」と呼ばれることもあります。
「沈黙の殺し屋」……なんとも恐ろしい呼び名です。
かかりたくないと思うのも無理はありません。
ちなみにWHOとIDFでは、2045年には世界の糖尿病患者はおよそ7億人になると推定しています。
これはもう地球規模のDM(だいもんだい/大問題)ですね。
*注/糖尿病は英語で「diabetes mellitus」「DM」ともいう。
<参考>
*「健康日本21(糖尿病)」(厚生労働省)
*「家庭医学大事典」(小学館)
*「糖尿病」(東京新聞・サンデー版/2021.11.14)
*「糖尿病判断の基準HbA1c値に関する意識・実態調査」(一般社団法人・日本生活習慣病予防協会)