生活習慣病とお腹ポッコリの深い関係
薄着の季節になってくると、気になるのがお腹まわりの脂肪。なんとかしたいなあ、と思っている人も多いはず。
お腹ポッコリは見た目だけの問題ではなく、体への悪影響も大。
お腹ポッコリ型の肥満はなぜ怖いのでしょうか。
女性にとってある程度の皮下脂肪は必要不可欠
肥満には下腹部や腰回り、お尻などのなど皮膚のすぐ下に脂肪がつく皮下脂肪型の肥満と、胃や腸などお腹の中の臓器のなかに脂肪がつく内臓脂肪型の肥満があります。
後者の内臓脂肪型は、お腹まわりがポッコリと出てくる体型の人に多い肥満です。
「脂肪」というとそれだけで目の敵にされがちですが、実は皮下脂肪はエネルギーの貯蔵庫であり、寒さや外部の衝撃から身を守ってくれる大事な働きがあります。
男性と比べて女性がふっくらと丸みを帯びたからだつきになるのは、女性ホルモンのエストロゲンが皮下脂肪をつくる働きがあるため。
また、正常な排卵や女性ホルモン分泌には、一定量の皮下脂肪が必要だといわれていて、極端なダイエットで短期間に多くの体重を減らしてしまうと、無月経になってしまうのはこのためです。
極端な皮下脂肪型肥満は、月経異常や不妊につながることがあるので注意が必要ですが、若いうちは皮下脂肪がそのまま病気につながることはあまりないといわれています。
内臓脂肪はなぜ怖いのか
一方で、警戒したいのが中高年から増えてくる内臓脂肪の蓄積です。
内臓脂肪が増えると、血栓をつくる物質や血圧を上昇させる物質など、悪玉物質が次々と分泌されることが知られています。
そうなると血圧や血糖値、中性脂肪が「ちょっと高め」といった段階であっても、気づかないうち動脈硬化へと突き進み、ある日突然心筋梗塞や脳梗塞を起こすといった重大な事態に至るリスクが高くなるといわれています。これがメタボリックドミノといわれるもの。
最初は肥満から始まって、次々とドミノ倒しのように病気の連鎖が起こってしまうのです。
女性は更年期以降、一気に内臓脂肪型肥満が増える
一般的に、男性は「内臓脂肪」がつきやすく、女性はエストロゲンの影響で内臓脂肪よりも皮下脂肪がつきやすいといわれています。
けれども、女性ホルモンが減少する更年期以降は、一気に内臓脂肪がつきやすく内臓脂肪型の肥満の割合が増えてくるので要注意。
また、エストロゲンは脳の満腹中枢を刺激して食欲を抑える作用があるそうです。そのために、更年期以降は過食に陥りやすくなることも肥満を加速させる一因になっているようです。
内臓脂肪がたまりやすい人の共通点
内臓脂肪がたまったお腹ポッコリになりやすい人は、食事を満足するまで食べる、間食が多い、野菜が嫌い、早食い、夕食の時間がおそいなど、食生活にいくつかの共通点があるようです。
思い当たるふしはありませんか?
この内臓脂肪を溜めやすい食生活を見直すことが、内臓脂肪型肥満から脱却するための第一歩。
やっかいな内臓脂肪ですが、皮下脂肪と比べて「たまりやすく落ちやすい」という性質をもっているといわれています。
お腹まわりが心配な人は、ぜひ今日から食習慣を見直して、運動習慣をつけることを心がけてみてはいかがでしょう。
<参考>
※『予防と健康の事典』(小学館)
※「メタボリックシンドロームを予防する食事・食生活」(e-ヘルスネット 厚生労働省)
※「メタボリックシンドローム」(日本内分泌学会)
※「【肥満チェック】内臓脂肪型・皮下脂肪型の違いと効果的なダイエット」(NHK健康チャンネル)