食中毒の季節 自己流の肉の低温調理にご用心!
サラダチキンやローストビーフなど、しっとりジューシーに仕上がるといわれる低温調理。
自宅でチャレンジしている人も多いのではないでしょうか?
でも肉の低温調理は、自己流で行うと思いがけなく食中毒の危険があるといいます。
梅雨から夏場に多く発生するカンピロバクター食中毒
湿度や気温が高い梅雨時や夏は、細菌が増えやすく食中毒の発生が増える時期だといわれています。
食中毒にはいろいろな原因がありますが、発生件数が多いといわれているのが、カンピロバクター食中毒。
カンピロバクターとは、牛や・豚・牛の腸内に生息している細菌で、とくに多発しているのは加熱が不十分な鶏肉による食中毒だそうです。
厚生労働省によるとカンピロバクター食中毒は年間約300件も発生していて、患者数は2000人にものぼるそうです。
低温調理の自己流レシピに気をつけて
鶏のたたきや十分に加熱されていない焼き鳥など、お店で出される料理で食中毒が発生することがあるといいますが、家庭での調理でも要注意。
国の食品安全委員会は、自己流で行う低温調理に注意するよう警鐘を鳴らしています。
低温調理は、ぬるめのお湯でじっくり調理する方法で、肉がやわらかく仕上がるのが大きな魅力。
ローストビーフや鶏肉を使ったサラダチキン、鶏ハムなど高タンパク・低脂肪の肉料理が低温調理で手軽においしくできるので、健康が気になる人やダイエット中の人の間でとくに人気が高いようです。
さまざまな低温調理器具も登場していますが、こうした調理器具は使わずに、SNSなどに投稿されている自己流レシピを参考に作っている人も少なくないようです。
不十分な肉の加熱が食中毒を招く
手軽にできる人気の低温調理ですが、実は、私たちが思っている以上に調理時間がかかるそうなのです。
鶏肉の場合、食中毒を防ぐには肉の中心温度63度で、30分の加熱維持が必要だといわれています。
ちなみに鶏むね肉(約300g、厚さ約3cm)の場合、内部温度が63度に達するまでにかかる時間は約70分かかるとのこと。中まで加熱するには、さらに温度を維持して30分……つまり合計100分の加熱時間が必要ということになります。
また、ジップロックに入れて湯煎するだけ、表面を焼いてアルミホイルでくるんで置いておくなど、余熱で調理する方法がインターネット等でさまざまな形で紹介されていますが、食品安全委員会は、「余熱調理では、肉の温度が食中毒を防止できるほど加熱されていない」と注意を呼びかけています。
加熱が不十分でも見た目ではわからない
肉に火が通ったかどうかは、見た目で判断しがちですが、食品安全委員会によると、63℃に達したばかりで加熱が不十分な状態の肉も、一定の温度と時間を維持して衛生基準が満たされた肉もどちらも外見上に差がなく、切った断面を比べても違いがなかったそうです。
料理に自信がある人ほど、長年の経験や勘に頼って調理しがちですが、こと食中毒のリスクを回避するには、しっかりと科学的な根拠に裏付けられた方法で調理したほうがよさそうです。
自宅で低温調理を行う場合は、正しいレシピにしたがって温度と時間をしっかり管理するか、専用の低温調理器具を使うようにしたいものです。
<参考>
※「肉を低温でおいしく調理するコツを教えます!」(食品安全委員会)
※「低温調理でも中までしっかり加熱を!」(墨田区保健所)
※「食中毒予防 カンピロバクターによる食中毒に気をつけましょう!」(世田谷区)