
夏バテで食欲不振はなぜ起こる?
平年よりも厳しい暑さになるといわれている今年の夏。
夏バテで食欲がないという人も多いのでは?
今回は夏の食欲不振にまつわるお話です。
食欲をコントロールするのは脳
突然ですが「おなかがすいた」というとき、みなさんは体のどこで空腹を感じていると思いますか?
胃が空っぽになるとお腹がすくことから、食欲は胃が調整しているように思える人もいるかもしれません。
けれども、食欲をコントロールしているのは、胃ではなくて脳なのです。
緊張や心配ごと精神的なストレスがあるときに、食欲がなくなるというのは誰もが経験すること。
こんなときは、胃の中が空っぽであっても、脳が食欲を感じにくくなっている状態です。
食欲は脳の視床下部にある満腹中枢と摂食中枢によりコントロールされていますが、自律神経が乱れると、その影響を受けて食欲不振に陥りやすいといわれています。
ところで、夏バテになると食欲がなくなりますが、今と昔では夏バテの種類が違ってきたといわれています。
エアコンがなかった時代の夏バテは、暑さによって体が疲弊することによって起こる夏バテ・食欲不振が主だったそうです。
ところが、現代は暑さとエアコンによる冷えの繰り返しで起こるストレスが自律神経を乱して夏バテ・食欲不振が起こることが多いそうです。
食欲がなくなると、当然のことながら栄養不足になます。それがさらに夏バテを加速させる悪循環に陥るといいます。
今年は、梅雨明けが早く、6月からはや猛暑日が続きました。
そして夏本番の今、これまで夏バテ知らずという人も、気づかぬうちに自律神経を疲弊させて夏バテモードに突入していることも。
自律神経をこれ以上疲れさせないためにも、セルフケアを心がけましょう。
食欲がないときのセルフケア
(1)冷たい食べ物・飲み物を摂り過ぎない
暑いからと冷たい食べ物や飲み物がおいしく感じられますが、胃腸に負担をかけるので摂り過ぎに注意を。できるだけ常温か温かいものを摂ることを心がけましょう。
(2)消化の良いものをゆっくり食べる
夏バテ予防には、肉、魚、卵。大豆などのタンパク質が多い食材や疲労回復に役立つビタミンB群を中心としたビタミン類、不足しがちなミネラルなどを意識的にしっかりとして取る必要があります。また、胃腸への負担を減らすためには、食事はゆっくりとよく噛んで食べることも大事です。
(3)休養・睡眠をしっかりとる
心身が疲れているときは、食欲が出ないことが多いもの。いつもより多めの睡眠・休養を取りましょう。
(4)部屋の冷房は外気温と5度に内の温度差に
エアコンの温度は、外気温との差が大きすぎると、体温調節がうまくできずに自律神経が乱れがちに。外気温と差が5~6度以内がよいといわれています。
(5)こまめに脱ぎ着して温度調節を
外出時やオフィスでは、冷房の効きすぎに注意。こまめに脱ぎ着して温度調節をしましょう。
(6)湯船につかる
夏はシャワーですませがちですが、夏の疲れ、冷え、ストレスの解消には、湯船にゆっくりとつかることが大事。心身をリラックスさせる入浴は、自律神経を整える働きもあるそうです。
(7)規則正しい生活を心がける
自律神経を整えるためには、規則正しい生活を心がけることも大切なポイント。現代社会ではなかなか難しいかもしれませんが、3食きちんと食事をとる、眠る前のスマホはやめる、朝はなるべく同じ時間に起床するなど、できることからトライしていきましょう。
ところで、一時的な食欲不振であれば、水分補給がきちんと出来てれば心配はないといわれています。けれども、食欲不振が長く続く場合はその背景に消化器の病気だったり、うつなど精神的な病気が隠れていることがあるので要注意。
「ただの夏バテ」ですませずに、まずは消化器や内科を受診しましょう。診察の結果内科の病気が見つからない場合は、うつ病などの病気の可能性もあるので、精神科や心療内科を受診することをおすすめします。
食事が十分にとれない状態が続くと、必要な栄養がとれずに健康な体を維持することが難しくなります。適切な治療を受けて、食欲を取り戻しましょう。
<参考>
※「食欲不振」(『栄養と料理』女子栄養大学出版部 2021年12月号)
※「夏バテを防ぐには」(中野医師会)
※「わくわく健康情報館」(湧永製薬株式会社)