タバコを消したあとの「三次喫煙」とは?
自分の意思とは関係なく他人のタバコの煙を吸ってしまう受動喫煙が問題になっています。
しかしタバコが消されたあとも残る残留物質のことはあまり知られていないようです。
この第三の喫煙と呼ばれるものの正体は?
吐き出す煙と副流煙には有害物質が?
この夏、全国高校野球選手権大会の試合を観戦中、禁煙であるはずのアルプス席でタバコ(加熱式)を吸った県議会議員が話題になりました。
本来、禁煙である場所で喫煙するといったマナーの欠如やルール無視に批判が集中したようです。
さらには周囲への受動喫煙の配慮があればと思った人も多いでしょう。
煙による体調不良を訴えた子どももいたということです。
タバコの煙には、喫煙する人が吸い込む主流煙、喫煙する人が吐き出す呼出煙、タバコの先端からユラユラと立ち上る副流煙があります。
受動喫煙とは呼出煙と副流煙が混じり合った煙にさらされることです。
タバコの煙に含まれる発がん物質などの有害な成分は、主流煙よりも呼出煙、副流煙に多く含まれるといわれています。
飲食店、遊技場、路上が受動喫煙ベスト3
厚生労働省の「令和元年 国民健康・栄養調査」によると、タバコを吸わない人の受動喫煙のベスト3は、「飲食店」がいちばん多く29.6%、次いで「遊技場」(パチンコ、ゲームセンターなど)と「路上」が27.1 %、「職場」は26.1%でした(月1回以上の受動喫煙)。
その他、「子供が利用する屋外の空間」(公園や通学路など)8.9%、「公共交通機関」8.6%、「家庭」6.9%、「行政機関」4.1%、「医療機関」での受動喫煙は2.9%でした(家庭は毎日、それ以外は月に1回以上の受動喫煙)。
現在は法律や条例などで、喫煙できる場所はかなり制限されています。
それでも路上や公園などでタバコを吸う人を見かけることは珍しくありません。
さらに近年こうした受動喫煙以外に、もう1つの意外な喫煙が問題になっています。
「サードハンド・スモーキング」とは?
「三次喫煙」というのをご存知でしょうか。
「タバコを消したあとに残留する化学物質を吸入すること」(e-ヘルスネット・厚労省)を三次喫煙と呼ぶそうです。
受動喫煙が「二次喫煙」とか「セカンドハンド・スモーキング」「環境タバコ煙」と呼ばれるのに対して、三次喫煙は「サードハンド・スモーキング」もしくは「残留受動喫煙」などともいわれます。
タバコに含まれる有害な物質は火を消したあとも空気中に漂い、壁やカーペット、カーテンや家具、運転中なら車のソファなどにも付着します。
タバコを吸った人の吐く息や髪の毛、洋服にも付着しています。
これらから放散されるタバコ残留物質を吸い込むことによる3次喫煙で健康被害を受けるとされています。
「タバコの匂いがする」は危険のサイン?
家族や周囲への配慮からベランダや屋外、換気扇の下でタバコを吸う人もいるようですが、有害な煙は四方に漂い、近隣への煙害、迷惑のもと。
換気扇もタバコの煙に含まれる有害物質を除去できないといわれます。
また、吸い終わったあとの吐き出す息にも有害な物質が含まれているといわれています。
喫煙者の呼気が周囲に及ぼす影響がなくなるまで45分かかるということもいわれています。
さらにタバコを吸った人が部屋に戻ったときや、屋外で喫煙者や喫煙所の近くを通ったときに「タバコの匂いがする」だけでも三次喫煙のリスクがあるといいます。
……かつては映画やテレビの名脇役、ドラマの小道具として活躍してきたタバコですが、いまではすっかり落ちぶれて、まるで悪の代名詞。
愛煙家のため息、ノスタルジーな感傷、そして、自然の澄んだ空気の中での一服、食後の一服は、おいし~い!……わかるような気がします、がっ! やっぱりここは大人の対応を期待したいです。
<参考>
*「三次喫煙(サードハンド・スモーク)」「たばこの煙と受動喫煙」(e-ヘルスネット/厚生労働省)
*「令和元年 国民健康・栄養調査」(厚生労働省)
*「見えない『サードハンド・スモーク』に注意」(独立行政法人 環境再生保全機構)
*「三次喫煙をご存知ですか?」(沖縄市役所)