
スマホの使い過ぎ? 増えている急性内斜視
若い世代を中心に急性内斜視が増えているといわれています。
その背景には、スマホをはじめとするデジタル機器の使い過ぎがあるようです。急性内斜視とはどんなトラブルなのでしょうか。
黒目が内側に寄って戻らなくなる
目が内側に寄って戻らなくなる状態が急性内斜視。いわゆる寄り目がもとに戻らなくなってしまうのだそうです。
私たちは、通常近くの物を見るときには両眼を内側に寄せる力が働くのですが、毎日のように近くの物ばかり見続けていると、眼球を動かす筋肉がうまく働かなくなって、もとに戻らなくなることがあるそうです。
これが急性内斜視と呼ばれるもので、寄り目になるほか、遠くのものがずれて見えるようになったりします。
物の遠近感や立体感がつかみにくくなるために、人にぶつかったり交通事故に合う危険性も高まるといわれています。
デジタル機器の使い過ぎ?
近年、急性内斜視が増加している背景には、スマホやタブレット、パソコン、ゲーム機器などの使い過ぎが一因として考えられているそうです。
とくに、スマホは画面が小さいために、至近距離で画面を凝視しがち。
スマホの使い過ぎは、急性内斜視に限らず、疲れ目やかすみ目、休息をとっても目の疲れや痛みが治まらない眼精疲労、頭痛や肩こりなどさまざまなトラブルを引き起こしてしまうようです。
コロナ禍で増えたデジタル機器の使用時間
スマホの使用時間は年々増えているといわれていますが、コロナ禍では1日の使用時間が平均で1時間以上増えたという報告があります。
またリモートワークの普及も目の健康に大きな影響を与えているようです。
ある調査では、在宅勤務をしている人の約6割がデジタル接触時間が増えたと回答しており、1日当たりのデジタル接触時間が5時間以上も増えたと回答した人がなんと2割もいました。
コロナ禍では、私たちはこれまで以上に目を酷使しているようです。
リスクを減らす上手な付き合い方
デジタル機器の使い過ぎによる目のトラブルを減らすために、専門家は「目と画面の距離は30cm以上離す」「30分に1回は、20秒以上画面から目を離して目を休める」ことなどをすすめています。
また、スマホの使用時間が長い人ほど、目のトラブルが起こりやすいことが知られています。とくに、いつもスマホを手放せないという人は要注意。
例えば歩きスマホは、接触や転倒、交通事故の原因になりますが、目のピントを合わせづらくなるために目にとってもいいことはありません。
また今やすっかり見慣れた光景になった電車の中でのスマホ使用は、電車の振動に合わせて画面も動くために眼精疲労が起きやすいそうです。
暗い所でスマホを見たり、就寝前やごろりと横になってのスマホ使用も、目に負担をかけるといわれています。
ときにはスマホと距離を置く時間を
ちょっと時間が空いたときには、必ずスマホを見ているという人も多いかもしれません。
「スマホ依存症」という言葉も今ではひんぱんに聞かれるようになりました。
そんなスマホから少し距離を置こうと、デジタル端末に触らない日や時間をつくる「スマホデトックス」をする人もいるようです。
今やスマホは私たちの生活に欠かせないツールですが、心も体も「デジタル疲れ」をしないように上手に付き合っていきたいですね。
<参考>
※コロナ禍における暮らしの変化(ロート製薬株式会社)
※「スマホ老眼」に関する意識・実態調査(参天製薬)
※「急性の内斜」(『きょうの健康』2021年10月号 NHK出版)