太りにくい体づくりは、体内時計がカギになる
正月に増えた体重を元に戻せずに、ダイエットを決意している人も多いのではないでしょうか。
でもダイエットをがんばる前に見直してほしいのが食事の仕方なんです。
正月太り、平均すると2kg増?
約8割の人が経験しているといわれる正月太り。
2~3kg程度太ったという人が多いようです。
1月は、1年の中でもっともダイエットを意識することが多い時期なのかもしれません。
ダイエットというと「何をどれだけ食べるか」に意識が向きがちですが、同じ食べ物でも「どのタイミングでどのように食べるか」で、体に及ぼす影響や効果が異なることが近年の研究からわかってきたそうです。
生体リズムを調節する体内時計
みなさんは「体内時計」という言葉をご存じですか?
私たちの体には体内時計があって、1日の活動に合わせて睡眠と覚醒、体温や脈拍、血圧、ホルモン分泌などのリズムを整えていることが知られています。
体内時計を統括しているのは、脳にある主時計と呼ばれるもの。
また各臓器や組織などには末梢時計といわれるものがあって、脳の主時計と連動して体のリズムを整えています。
この体内時計のリズムが狂うと睡眠障害や倦怠感、食欲不振などの不調を招くだけでなく、生活習慣病やうつなどさまざまな病気につながることがわかってきました。
さらに近年は、栄養と体内時計との関係を研究する「時間栄養学」の考えが広がってきました。体内のリズムを整えることで太りにくい体になることもわかってきたそうです。
遅い夕食が太るわけ
朝起きて夜眠るという体内の生活リズムを調整するタンパク質の一種にBMAL1(ビーマルワン)という時計遺伝子があるそうです。
このBMAL1が担っているのが体脂肪の増加。つまりBMAL1が活性化して増えると体脂肪もまた増えてしまうというしくみなのです。
このBMAL1には日内変動があって夜9時ごろから急増し、ピークは深夜2時ごろ。逆にBMAL1が最も少ない時間が午後2時ごろだといわれています。
夜9時以降に摂る食事は、BMAL1の働きで、それだけ脂肪となって蓄積されやすのです。遅い時間に夕食を摂ると太るといわれていますが、その理由はこんなところにあったのですね。
夕食はできるだけ早めの時間に摂ることが、脂肪をため込まないポイントになります。
けれども残業があるときや、勤務時間や通勤時間の関係でどうしても帰宅時間が遅くなる人もいるでしょう。
そんなときには18時ごろおにぎりなどの主食を摂って、帰宅後は野菜中心の副菜やスープなど臓器に負担がかからないようなものを摂るとよいといわれています。
朝日と朝食がポイント
私たちのからだのさまざまな生体リズムを動かしている体内時計ですが、このリズムは日常を送る24時間周期より若干長めであることが知られています。
放っておくと少しずつ後ろにずれていき体に悪影響を及ぼすので、毎日リセットすることが大事だといわれています。
そのために必要なのが、朝日と朝食。
朝起きたらカーテンをあけて朝日浴びることで、目から入った朝の光が脳の主時計をリセットします。そうして、体の末梢時計をリセットするのが朝食です。この2つが揃うことで体内時計がしっかりと調整されるそうです。
朝食で大事な炭水化物とタンパク質
あわただしい朝は、パンとコーヒー、スムージーなどで朝食をすませる人も多いかもしれません。けれども、体内時計を整えるためには、炭水化物とタンパク質をしっかり摂ることがとても大事。
炭水化物は脳のエネルギー源になり、タパク質は筋肉量を増加させたり代謝を上げるためにも大切な栄養素だといわれています。
加えて野菜や果物もしっかり摂れると理想的な朝食になるそうです。
食事を減らすダイエットは、せっかくやせてもリバウンドしやすいことが知られています。
それよりも時間栄養学の考え方を身につけて、必要な栄養素をしっかり摂りながら、太りにくい体をつくりたいものですね。
<参考>
※「時間栄養学で太りにくい体に」(『栄養と料理』女子栄養大学出版部 2022年4月号)
※「体内に時計が!? 時間栄養学に学ぶ賢い食べ方」(山梨県厚生連)
※「時間栄養学の考え方」(『読むらじる。』NHK)
※「かんたん、わかる!プロテインの教科書」(森永製菓株式会社)