日本人の女性の睡眠時間が短い理由は?
日本人の平均睡眠時間が世界と比較して短いことは知られていますが、女性の睡眠時間が男性よりも短いことは、あまり注目されていないようです。
その理由は、おそらく……もうお分かりですよね?
女性の睡眠時間は男性よりも短い?
日本人の睡眠不足はいまでは世界的にも有名です。
OECD(経済協力開発機構)の2021年の調べによると、日本人の平均睡眠時間は加盟33か国中、最短の7時間22分で、加盟国の平均8時間27分よりも1時間以上少なかったそうです。
厚生労働省の調査でも、睡眠時間が7時間未満の人が67.7%もいました。
さらに男性に比べて女性の睡眠時間が少ないことも分かりました。
OECDの調査では男性は女性より13分長く寝ているそうです。
総務省の「社会生活基本調査(2021年)」でも、男性の睡眠時間が7時間58分、女性が7時間49分でした。
また厚生労働省によると、睡眠時間が7時間未満の男性が63.2%なのに対して、女性は71.7%もいました。
一方、7時間以上寝ている男性は36.0%、女性は27.5%で、女性の方が睡眠不足であることが分かります。
睡眠にもジェンダーギャップ?
NHK放送文化研究所の「国民生活時間調査(2020年)」でもやはり女性の睡眠時間が男性よりも少ないことが分かります。
男性が平均7時間20分なのに対して女性は7時間6分。ここでも男性優位は揺るぎないようです。
なぜ女性は男性に比べて睡眠時間が短いのか?
専門家が指摘するのは、家事や育児、介護などの負担が女性に重くのしかかっているのではないかということ。
総務省の「社会生活基本調査」によると負担の大きさがよくわかります。例えば6歳未満の子どもをもつ夫婦の家事、育児関連の労働時間をみると、妻は6時間59分、夫は1時間43分。その差は約5倍です。
特にその差が顕著なのは、家事では「食事の管理」。妻が1時間25分、夫はわずか14分でした。育児では子どもの「身体の世話と監督」で、妻の2時間3分に対して、夫はたったの28分です。
世界のトレンドは「女性はよく眠る」
「家事、育児は女性の仕事」といった前時代的な考えが、いまだに根強く残っているのかもしれません。
さらに昔から「寝る間を惜しんで働く」といったこともいわれて、睡眠は「二の次」扱いされたりもしてきました。
でもいまでは「睡眠不足による経済損失は15兆円」ともいわれるほど、睡眠の質が注目されています。
睡眠は疲れた体と心の休息はもちろん、免疫を高めたり、傷んだ部分を修復したり、記憶を整理したり、成長ホルモンの分泌を促したりなど、重要な役割を担っているといわれます。
「女性は男性よりよく眠る」は世界のトレンドとか。
「世の中に寝るほど楽はなかりけり。浮世の〇〇は起きて働く」などということもいわれます。
そんな浮き世を離れた気持ちになって、惰眠を貪る時間があってもいいかもしれませんね。
<参考>
*「令和3年度 健康実態調査結果の報告」(厚生労働省)
*「令和3年社会生活基本調査 生活時間及び生活行動に関する結果」
(総務省)
*「学習と健康・成長」(朝日新聞EduA)
*「良い睡眠で、からだもこころも健康に。」(厚生労働省)