動くのが当然の中で、動かない関節もある?
歩いたり、走ったり、つまんだり、投げたり……といった複雑な体の動きを可能にしているのは関節のおかげ。
ふだんは意識することなく動かしている関節ですが、1カ所だけ動かない関節があるらしいです。
猫は容器の形に合わせて変幻自在?
「猫は液体である。」……。
通販カタログ雑誌『通販生活』のテレビCMで話題になったので、ご存知の方も多いでしょう。
もともとはフランスのマーク・アントワン・ファルダンという物理学者が「猫は固体であり液体である」とする内容の論文で、2017年にイグ・ノーベル賞を受賞した学説を映像化したものでした。
猫を飼っている人には「何をいまさら」といわれてしまうことかもしれませんが、猫には容器に合わせて変幻自在に体の形を変えてしまう特殊能力が備わっているようです。
人間の関節の数は260個?
研究者をして「液体」といわしめるほど、猫の体はどうしてそんなにやわらかいのでしょうか。
猫の骨は244本の骨からなっているそうで、約206本といわれる人間の骨より40本ほど多いようです。
そのぶん可動部が多いということになりますが、それだけでなく、骨どうしをつなげている靭帯が、人間とは違って非常に柔軟性に富んだものだそうで、それが猫の「液体化」を可能にさせているといえそうです。
さらに猫の関節は118個といわれ、ほかの動物、例えばヤギの60個などと比べても多く、複雑な動きが可能な動物ほど、関節の数が多いのだそうです。
人間の関節の数は、猫よりも多い約260個といわれ、約6割は複雑で多彩な動きができる手足にあるのだそうです。
関節はそれぞれ形や構造が違います
骨と骨を靭帯でつながれた関節は、いろいろな方向に動かしたり、回したりできます。
ひと口に関節といっても、場所によって形や構造が違っているようです。
肩や股の関節はいろいろな方向に動かしたり回したりできる関節で、端が球のように丸くなっていることから「球(きゅう)関節」と呼ばれます。
肘や指の関節は、曲げたり伸ばしたり、一方向にしか動かすことができない「蝶番(ちょうつがい)関節」と、内側と外側に回転させることができる「車軸関節」と呼ばれる関節があります。
膝の関節は「螺旋(らせん)関節」と呼ばれ、屈伸や回旋ができます。
手首や足首の関節は「鞍(くら)関節」と呼ばれています。馬の鞍にまたがるような形だからだそうです。
首や椎間は骨と骨の間に隙間があり、すべるように動く「平面関節」です。
動かせない関節がある?
200本ほどの骨は、こうした関節によってあらゆる動きに対応していますが、動かすことができない関節があります。
頭の骨です。
「えっ、頭の骨って関節なの?」
意外に思うかもしれませんが、じつは頭の骨に見られるあのギザギザは頭の骨をつないでいる関節だそうです。
ちなみに関節は動かさないでいると、関節の周辺の組織がかたまり、可動範囲が制限されてしまうといいますから運動不足は要注意です。
また、お酢を飲めば猫のように柔軟な体になれると勘違いするケースもまれにあるようですが、残念ながらお酢で骨や関節がやわらかくなることはないようです。
骨まで食べられるという魚や肉料理のようにはいきません……。
<参考>
*「からだのしくみ図解事典」(長岡書店)
*「からだと病気の本(3)ささえる・うごかす」(岩崎書店)
*「暮らしのお役にたつ健康情報」(株式会社富士薬品)
*「必見!目がテン!ライブラリー」(日本テレビ)
*「猫の身体」(アニコム損害保険株式会社)
*「通販生活2023春号」(株式会社カタログハウス)