プラスコラム
PLUS COLUMN

持病をもつ人、高齢出産の人は、妊娠前からの準備が大事!

持病をもつ人の妊娠・出産や高齢出産にはいくつかのリスクが伴いますが、十分な準備をして妊娠にのぞむことで、リスクを減らすことができます。

赤ちゃんがほしいと思ったら、婦人科検診+内科的な健診を!

35歳以上で初産の女性を「高齢出産」と呼んでいます。
年齢で区別するのは、35歳以上の初産では、(1)流産をしやすくなる、(2)ダウン症の出生率が高くなる、(3)妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病など合併症が起こりやすい、(4)難産になって帝王切開をする確率が高くなるなど、妊娠・分娩にさまざまなリスクが出てくるからです。


しかし、実際は35歳以上でも無事出産している人はたくさんいます。
また、上にあげた(3)、(4)のリスクに関しては、心がけしだいでリスクを軽減することが可能です。
その第一歩として、赤ちゃんがほしいと思ったら、まず、婦人科健診と内科的な健診を受けることをおすすめします。
35歳を過ぎると子宮筋腫などの婦人科の病気を持つ人が増えてきますから、これらの病気がないかを婦人科健診を受けてチェックしておくことはとても重要です。


また、「母性内科ってなに?」でもお話ししましたが、年齢が上がるにつれてこれまで病気とは無縁だった人でも、高血圧や血糖値が上がるといった生活習慣病の要素が増えてきます。そのため、妊娠すると「妊娠高血圧症候群」や「妊娠糖尿病」などを併発しやすくなるのです。
今現在これといった持病がない人も、内科的な健診はぜひ受けて、自分の健康状態をチェックしておきましょう。
健診を受けておくことで、自分は安心して妊娠できるのか、また、元気な赤ちゃんを産むためには、妊娠中にどんな点に気をつければよいのかといったことなども、妊娠前から医師と話して確認しておくことができます。
妊娠中に食事や運動に気をつけたり、休養を十分にとるなど、ちょっとして日常生活の心がけで難産を回避できることが少なくありません。

慢性の病気のある人は、妊娠前に医師に相談を

すでに、糖尿病や高血圧症、甲状腺疾患、心臓病、腎臓病などの持病を持っている人もいるでしょう。気管支ぜんそくや花粉症なども若い世代によく見られる病気です。
病気によっては、妊娠・出産に悪い影響を与えることがあります。持病を持っている人は、必ず妊娠前に専門医に相談をしましょう。
医師と相談したうえで、妊娠が可能な場合は、妊娠に向けて症状をコントロールしたり、薬を飲んでいる人は胎児への影響が少ない薬に変更するなど、妊娠に向けての準備をしていきます。

また、妊娠・出産は産科の医師と内科の医師との連携が大事です。出産は、産科と内科が連携できる設備の整った病院を選びましょう。

リスクを減らすための努力をしたら、あとはおおらかに妊娠生活を楽しんで

高齢出産というと、難産になるというイメージを持つ人がいますが、医学が発達している現在では、妊娠前から持病を持っている人でも元気な赤ちゃんを産むことが可能になりました。
妊娠前に健診を受けたり、持病のある人は医師と話し合って妊娠の準備を整えたら、あとはあまり神経質にならないことです。
妊娠中は医師の指示を守っていればほとんど心配はいりません。おおらかな気持ちで妊娠生活を送ってください。

プロフィール

村島 温子 先生
母性内科
村島 温子 先生

国立成育医療センター母性内科医長

山梨県に生まれ、筑波大学医学専門学群卒業。
内科とくに循環器内科医を目指し虎の門病院研修医に。
研修終了後、生活習慣が大きな要因となる心筋梗塞よりも原因不明で若い女性が侵される膠原病に立ち向かいたいと順天堂大学膠原病内科に入局。
「膠原病と妊娠」をテーマにしていたことがきっかけで、現職に。
日本リウマチ学会評議員、日本内科学会総合内科専門医部会幹事

関連キーワード