酒とタバコの同時摂取で「がん」リスクは何倍?
お酒とタバコはとても相性がいいといわれます。
タバコも酒もどちらも「のむ」といったりします。
でも両方を一緒に「のむ」と、がんの発生率が高くなるらしいです。がんになるのは「のめない」という人はご一読を。
飲酒も量が過ぎれば健康リスクに?
私たちの健康に大きく影響する嗜好品といえば、何といっても酒とタバコでしょう。でもこの2大嗜好品、世間での評価は大きく別れるようです。
酒は「百薬の長」などといわれて、お酒大好きな人たちの間では下へも置かぬもてなしを受けています。
とはいえ飲み過ぎれば当然ながら様々な健康リスクがあるといわれます。
例えば肥満や高血圧、糖尿病などの生活習慣病、肝臓の病気などのほか、がんのリスクについてもいわれています。
国立がん研究センターの調査によると、飲酒とがんの発生率は「ときどき飲む」を1とした場合、飲酒量が1日2〜3合の男性は1.43倍、1日3合以上の場合は1.61倍でした。
飲酒量が少ない人はどうでしょうか。1日1合未満の場合は1.18倍、1日1〜2合未満の人は1.17倍でした。
女性については定期的に酒を飲む人が男性に比べて多くないためにはっきりした傾向が見られないということです。
タバコは「百害あって一利なし」
一方、タバコはどうかというと、いまさら説明するまでもないかもしれません。
お酒とは真逆。「百害あって一利なし」とまでいわれています。
酒好きの一部からも煙たがられる存在であるようです。
喫煙はいくつものがんをはじめ、脳卒中や心疾患、呼吸器の病気、歯周病など、たくさんの病気と関係していることを多くの人が知っています。
喫煙は「予防できる最大の死亡原因」といわれているほどです。
タバコが厄介なのは、吸っている本人以外の周囲にも被害が及ぶこと。
火をつけたタバコ本体から立ち上る煙や喫煙者から吐き出された煙にも有害物質が含まれていて、喫煙しなくてもタバコの煙を吸わされてしまうのです(受動喫煙)。厚労省によると受動喫煙によって年間約1万5,000人が亡くなっているといいます。
飲酒と喫煙がセットになると、がんリスクは2倍以上
では、この酒とタバコ、2つの嗜好品を同時に楽しむとどうなるのか、健康面でどんな影響があるのでしょうか?
国立がん研究センターが40〜59歳の男女約7万3,000人を対象に1990〜2001年まで追跡した大規模調査によって飲酒と喫煙の悪しき関係が明らかになりました。
タバコを吸う人と吸わない人に分けて飲酒量とがんの発生について調べたところ、非喫煙者は飲酒量が増えてもがんの発生率に大きな変化は見られなかったのですが、喫煙者は、飲酒量が増えるに従ってがんの発生率が高くなることが分かったのです。
喫煙者、非喫煙者で「(酒を)ときどき飲む」人を1とした場合、適量といわれる「1日1合未満」では非喫煙者が0.87なのに対して、喫煙者は1.69倍でした。「1日2〜3合以上」では非喫煙者が1.08、喫煙者は1.94倍。
「1日3合以上」の多量飲酒では、非喫煙者の1.02に対して、喫煙者は2.32倍と、タバコを吸う人が高い確率でがんにかかることが分かりました。
ここでもやはりタバコは分が悪いようです。
お酒には「適量」という飲酒量の基準がありますが、喫煙は「一利もない」と散々な言われよう。やはり禁煙、断煙しか方法がないのか……?
<参考>
*「アルコールと健康障害」「喫煙による健康影響」(厚生労働省 e-ヘルスネット)
*「飲酒とがん全体の発生率との関係について」「受動喫煙対策に関するアンケート調査」(国立がん研究センター)