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山登りで注意したい「高山病」とは?

山登りが人気のようです。なかでも富士登山は、国内はもちろん外国からの観光客にも大人気。

ただ無謀な登山による健康トラブルも数多く見られるようです。

特に「高山病」は命に関わるだけに要注意といわれます。

 

「弾丸登山」が原因で起こる体調不良

「弾丸登山」という言葉を最近、よく耳にします。

 途中、山小屋に泊まらないで、夜通しで一気に頂上を目指す登山のことをいうようです。

特に富士登山で、この弾丸登山が問題になっているといわれています。

多くは頂上からのご来光を拝むのが目的なのだそうですが、そうした無謀ともいえる登山のために転倒や落石などの事故はもちろん、健康トラブルも多く発生しているといいます。

十分な休息を取らないまま、睡眠不足と疲労した状態で夜間に登山を続けることは体調を崩しやすいといわれます。

気温の変化や酸素の薄さという高地ならでは環境に体が十分に対応することができず、「高山病」などを発症することもめずらしくないようです。

高山病は、命を落とすこともあるこわい病気といわれています。

 

装備を持たない「軽装登山」の危険

 富士山は世界に知られた超有名な山だということは誰でも知っています。高さが3,776メートルもある日本一高い山でもあります。

さらに環境省関東地方環境事務局によれば夏の間だけでも16万人(2022年7〜9月)もの登山者が訪れる「観光地」でもあります。

 そんなことから「誰でも気軽に登れる山」という印象を富士山に対して抱く人も多いようです。

実際、テレビで放映されている富士登山の映像を見ると、短パンにサンダル、スカートにスニーカーといった超軽装に加えて、登山に必要な装備を持っていない人もいたりして驚かされます。

 弾丸登山と同じくこうした軽装での登山も危険だとされています。

 

酸素が少ない環境に順応できない?

高山病は2,000メートル以上の高地で発症し、多くは2,500メートル以上で発症するといわれます。高齢者の場合は1,500メートルからを高所と考える必要があるといいます(厚労省「高山病」より)。

一般に標高が高くなると気圧が下がり、酸素の濃度が平地に比べて薄く

なるといわれます。高山病は、高い山に登ることで体内に取り込む酸素の

量が減り、体内の酸素濃度が低下することで発症するとされます。

ただ、人間の体はこうした環境の変化に適応する能力を備えているらしいのですが、弾丸登山のような夜通しの無謀な登り方や、登るスピードが早すぎたりすると体が環境の変化に適応できず、高山病を発症すると考えられています。

山小屋でしばしの休息をとったり、景色を眺めながらゆっくり登って、体を山の高さに慣らすようにしながら登るのがいいとされています。

 

頭痛などの「山酔い」が高山病のサイン?

高山病の主な症状は頭痛、めまい、吐き気、立ちくらみ、倦怠感、脱力感などです。

これらは「山酔い」といわれる初期の症状だそうですが、重症化すると「高所肺水腫」(呼吸困難など)や「高所脳浮腫」(まっすぐ歩けないなど)を引き起こして、最悪の場合、命を落とすこともあるといいます。

「みんなで登ればこわくない」などと不埒なことを考える人もいるかもしれませんが、富士山は3,000メートル級の日本の最高峰、歴とした高山であるということを忘れてはいけません。

 

富士山は、なぜ「フジ」なの?

 ところで「富士山」はどうして「フジ」と呼ばれるようになったのでしょう。名前の由来については諸説あるようですが、よく知られているのは『竹取物語』にある「不死山」を語源とする説。

かぐや姫が天に帰る日、帝の使者が山頂で不老不死の葉を焼いたから「不死」(フジ)と呼ばれるようになったというものです。

他にも富士山のある地元の「富士」から取ったというものや、アイヌ語の「フチ」(火)や「フンチ」(火山)が「フジ」に転じた(国土交通省中部地方整備局『富士山について』より)という説があるようです。

 

<参考>

*「2023年富士登山されるすべての方へ」(富士登山オフィシャルサイト)

*「疾患別解説 高山病」(厚生労働省)

*「富士山について」(国土交通省 中部地方整備局 富士砂防事務所)

*「高山病について」(岐阜大学大学院医学系研究科・医学部)

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。

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