進む日本人の魚離れ
水産庁は消費者に魚食文化の大切さを再認識してもらうことを目的に昨年(令和4年)毎月3日から7日を「さかなの日」と制定しました。
その背景には、魚介類の消費量が減り続けている状況があるようです。今回は重要なタンパク源となる魚のお話です。
日本人の深刻な魚離れ
魚と肉。みなさんの家庭ではどちらが多く食卓にのぼっていますか。「それはやっぱりお肉でしょう」という人が多いかもしれません。
事実、日本人の魚離れが急速に進んでいるようです。
魚介類の消費量は2001をピークに減少し続けており、2011年度にはついに1人あたりの魚介類と肉類の消費量が逆転。肉類の消費量が右肩上がりに増えるのとは対照的に、魚介類の消費量はじわじわと減少しています。
また、ピーク時の2001年度の1人当たりの魚介類の年間消費量は40.2kgでしたが、2021年度には23.2kg(概算値)になってしまいました(令和4年度『水産白書』)。
1人当たりの魚介類の年間消費量は、ここ20年間で40%以上も減った計算になります。
健康志向から世界的には年々魚介類を食べる量が増えているのに、かつて魚食大国といわれた日本では魚離れが深刻になっているようです。
魚料理をつくらない理由は?
魚離れの背景には「調理が面倒」「肉よりも高価」「食べるに手間がかかる」「後片付けが面倒」「ごみ処理が大変」などさまざまな理由があるようです。
でも、スパーでは骨を取り除いた魚や切り身など食べやすく工夫された魚がたくさん売られています。
また缶詰を利用するなど、魚を食べる習慣をつけたいですね。
魚に含まれるEPA、DHAの効用
魚には私たちの体にとって大切な栄養源が豊富に含まれています。
たとえばよく知られているのが魚の油に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)という栄養素。EPAには血栓予防や高血圧予防、抗炎症作用などがあるといわれてます。一方DHAは動脈硬化の予防改善や脳の発達促進、認知症予防等の効果が知られていいます。EPAもDHAも私たちが生きていく上で欠かせない必須脂肪酸ですが、体内でつくることはできません。そのため食事等から摂取する必要があります。
体にうれしい栄養素がたっぷり
ほかにも免疫機能の向上、抗がん作用、健康維持等に役立つ機能性成分やビタミン(D、E、B12)、必須ミネラル(カリウム、カルシウム、マグネシウム等)など、健康な体を維持する上で必要な栄養素がたくさん含まれているのです。
また魚介類は、良質の動物性タンパク質を含む一方で、カロリーが低いのもうれしい点ですね。
簡単お手軽・おいしいレシピを公開中
ヘルシーで栄養豊富なのはわかったけれど「どんな食べ方があるのか、料理が思い浮かばない」「レシピがわからない」という人も多いかもしれません。
例えば、水産庁の公式ブログでは「1か月毎日海鮮丼チャレンジ」を公開して、さまざまな海鮮丼を紹介。
農林水産省のクックパッドキッチンでは、水産庁職員のお勧めレシピを掲載しています。
また「さかなの日」ホームページ(https://sakananohi.jp/contents/recipe.html)でもさまざまな形で魚料理のレシピを紹介していますので、気に入った料理があればぜひチャレンジしてみてください。
<参考>
※「食料自給率のお話 魚介類の自給率」(水産庁)
※令和4年度『水産白書』(水産庁)
※「おいしい×サステナ=いい未来 さかなの日」(水産庁)
※「魚離れが日本人に及ぼす影響とは?」(『栄養と料理』女子栄養大学出版 2023年9月号)