冬に多い「緊張型頭痛」
慢性頭痛で多くみられる「緊張型頭痛」。寒い季節になると増えてくるといわれています。
なぜなのでしょう。
多く見られる頭痛
頭痛の原因の約7割~8割を占めるといわれる緊張型頭痛。
後頭部から首筋にかけて重苦しい感じや頭全体が締め付けられるような、圧迫感のある鈍い痛みが起こるといわれています。
日本頭痛学会によると反復性(月に15日未満)と慢性(3カ月を超えて、平均して1カ月に15日以上)に大別されるようです。
痛みは頭部の両側や頭全体にかけて起こり、目の奥が痛んだり、肩や首が凝ったり、めまいを伴うこともあるそうです。
首や肩周辺のこりが頭痛を引き起こす
緊張型頭痛はいわゆる「こり」による頭痛だといわれています。
頭から肩にかけての筋肉が緊張して筋肉内の血液の循環が悪くなると、乳酸などの疲労物質が蓄積されて、痛みを引き起こすと考えられています。
細かい作業やパソコン、スマホの使用で長時間同じ姿勢をとっていたり、眼精疲労や睡眠不足などがあるとき、また精神的なストレスがあるときなどに頭痛が起こりやすいそうです。
緊張型頭痛は、片頭痛のようにズキズキと脈を打つような痛みや寝込むほどの痛みはないようですが、締め付けられるような痛みが続くことで、QOL(生活の質)を下げてしまうのは間違いありません。
緊張型頭痛に悩む人は、ストレスが増える働く世代に多いといわれています。
寒さと頭痛の関係
緊張型頭痛のもうひとつの特徴は、1年の中でも冬に起こりやすいこと。
冬は寒さで筋肉が硬直しがちです。 血管も固くなって、血行が悪くなります。
重い衣服によって肩こりが悪化したり、寒さによって知らず知らずのうちに猫背やうつむきがちなど姿勢になることも頭痛を起こす要因のひとつになるようです。
温めて血行をよくしよう
頭痛が起きたときの対処法としては、片頭痛は冷やすとよいのですが、緊張型頭痛の場合は首や肩周辺を温めたり、体を動かして体の血行を良くすることが痛みがやわらぐことが知られています。
お風呂にゆったり使ったり、肩や首のストレッチをしたり、蒸しタオルなどで首や肩を温めたり。
最近は使い捨てカイロを入れられるネックウォーマーなども市販されていますから、上手に活用するとよいですね。
日常生活の見直しも大事
緊張型頭痛が起きやすい人は、度の合った眼鏡をかけたり、パソコンやスマホの画面を見るときには20分に1回程度は意識的に休憩をとって、眼精疲労を防ぎましょう。
軽いスポーツや体操などで体の緊張を取り除くことも有効です。
また、ストレスも緊張型頭痛の一因になるので、意識的にリラックス時間をもつことも大事なポイントだといいます。
市販の頭痛薬の連用に注意を
頭痛があるときには休養するがいちばんですが、なかなか仕事を休めずに頭痛薬を頻繁に使う人も多いようです。
けれども、市販の頭痛薬に頼って日常的に使っていると、それによって頭痛を慢性化させてしまう恐れがあるといわれています。
生活習慣を改善しても症状が良くならないときや市販の頭痛薬が効きにくい、頭痛薬を頻繁に使いがちな人は、内科やかかりつけ医、また頭痛外来などを受診して、自分に合った薬の処方や服薬指導をしてもらいましょう。
<参考>
※『ウィメンズ・メディカ』(小学館)
※「緊張型頭痛」(徳島県医師会)
※『きょうの健康』( 2017年8月号 NHK出版)