
足が「第二の心臓」と呼ばれるのは?
「手は第二の脳」などと、よくいわれていますが、「足は第二の心臓」という言葉もあるようです。
いったい足の何が「心臓」だというのでしょうか?
気になりませんか?
血液は「上り」と「下り」の一方通行
ご存知のように血管には動脈と静脈があります。血液はこの血管を通して全身を巡っています。
動脈は栄養や酸素などをたっぷり含んだ血液を心臓から送り出し、静脈は二酸化炭素や老廃物などを含んだ血液を心臓へ戻します。
動脈を「上水道」とか「下り路線」、静脈を「下水道」とか「上り路線」などと呼んだりもしているようです。
血液はこのようにすべて一方通行。「行き」の動脈と「帰り」の静脈で同じ血管を通ることはできないといわれます。
また、毛細血管を含めて全身に張り巡らされた血管をまとめて1本につなげると約10万キロメートルといわれています。地球を2周半もするほどの長さになるそうです。
静脈血はどうやって心臓に戻れるのか?
ところで、動脈の血液が心臓の力強い拍動によって全身にくまなく送られることは誰もが知っています。
さらに動脈は高い圧力に耐えられる丈夫な構造になっていて、自身も収縮や拡張を繰り返して血液を送り出すことができるといいます。
ちなみに1分間に5リットルもの血液が、約20秒で体じゅうを駆けめぐるといわれています。心臓と動脈のパワーが分かります。
では、静脈を流れる血液は、どうやって心臓に戻ってくるのでしょう?
とくに脚(足)など、心臓より遠くて低い位置を流れる静脈血が、重力に逆らって心臓に戻るために、どんな手段を使っているのでしょうか?
ふくらはぎが「第二の心臓」と呼ばれるのは?
筋肉の動きを利用しているといわれています。
静脈には血液を心臓に押し戻す圧力はそれほどなく、もっぱら筋肉が縮んだり膨らんだりするときの力や圧力を借りて、重力に逆らいながら血液を上方へと押し戻しているというのです。
とくに「第二の心臓」とも呼ばれるふくらはぎは、静脈血を心臓へ押し戻す重要な役割を果たしているといわれます。
ふくらはぎは「筋肉ポンプ」とも呼ぶのだそうです。
静脈には静脈弁と呼ばれる弁が複数あって、血液が逆流するのを防いでくれるといいます。筋肉が収縮するときは弁が開いて静脈血を上方へ押しやり、弛緩すると弁が閉じて血液が下方に流れるのを防いでくれます。
この繰り返しによって、静脈血は心臓へ押し戻されるというわけです。
ポンプ機能を衰えさせない方法は?
長時間の立ち仕事やデスクワークが多くて、座り続ける生活が多い人は、脚(足)のむくみが出やすいといわれます。
ふくらはぎの静脈血の流れが滞り、筋肉ポンプが十分に働いていないことによる血流の悪化が原因かもしれません。
脚(足)を動かしたり、ストレッチをしたりするなどで血流を促すことができるといいます。
例えば、ウォーキングを毎日の習慣にする、イスに座った姿勢でつま先を上げ下げする、立ったままでかかとを上げ下げする、ふくらはぎを下から上へもむ(お風呂でもむとより効果的)などのケアがよいといわれます。
脚(足)は体を支える重要な場所。大切にしてあげたいですね。
動脈と静脈の境目はどこ?
ところで、心臓から動脈を通じて全身に送り出された血液ですが、心臓に帰ってくるときは静脈を通って流れ込んできます。
どうして行くときは動脈血だったのが、帰るときは静脈血になってしまったのでしょうか? この2つの血管の境界線はどこなのでしょうか?
じつは毛細血管が動脈と静脈の境界線なのだそうです。
毛細血管は動脈と静脈の間を「赤血球がやっと通れる程度」の超極細の血管で連絡しているといわれます。
そうした毛細血管網を通して栄養や酸素の供給と老廃物と二酸化炭素の回収、交換を行うのだそうです。
心臓から押し出された血液は、動脈を通って毛細血管に到り、静脈となって再び心臓へ、10万キロという気宇壮大な行程をたどるのでした。
<参考>
*「広大なミクロの世界へ、ようこそ!」(日本赤十字社医療センター情報誌/Tea Time vol.68)
*「座りっぱなしを救う!血流アップのカギは『ふくらはぎ』」(沢井製薬株式会社)
*「“第二の心臓”足に気配りを!」(公益社団法人 千葉県医師会)