
なぜ女性は男性より「お酒に弱い」のか?
お酒を楽しむことに老若も男女も関係ありません。
ただ、女性は男性に比べて「酒に弱い」ので、「飲みすぎないように」とよくいわれます。
どうしてでしょう?
女性の飲酒率が増加傾向
今では女性の一人飲みもめずらしくないようです。
かつては男性中心の「酒飲み場」の居酒屋などに女性が一人で入るのは、かなりの「勇気」が必要だったといわれます。それが最近では「ぼっち飲み」などという言葉もあるといいます。
さらに最近はアルコール飲料のCMに女性が登場することはめずらしくありません。
女性も日常的にお酒を楽しめるようになりました。
厚生労働省の調査によると「週に3回以上飲酒する」女性は、1989年の6.3%から2019年では8.8%に増加しています。
男性の飲酒率が減少傾向にあるのとは対照的です。
女性のアルコール代謝は男性より遅い?
しかし、女性がお酒を楽しめるシーンが増えたことによるマイナス面もあるようです。
女性は体質的に「お酒に弱い」とよくいわれます。
男性と同じ量のお酒を飲んでも、臓器障害など健康への影響を男性よりも受けやすいそうです。
女性の肝臓は男性よりも小さいことに加えて、女性ホルモンがアルコールの代謝を抑制するためにアルコールの分解速度が遅いともいいます。
1時間で分解できる純アルコール量が男性の平均5gに対して女性は平均4gだそうです。
たとえば500mlのビール(純アルコール量20g)を分解するのに男性が4時間なのに対して女性は5時間かかるそうです。適正といわれる女性の飲酒量は、男性の2分の1から3分の2くらいとされています。
男性よりもアルコールの影響を受けやすい?
また女性は体脂肪が多く、体内の水分量が少ないために、男性と同じ飲酒量でも血液中のアルコール濃度が高くなりがちなのだそうです。
そのため多量の飲酒を長い間続けた場合、高濃度のアルコールが体内に長くとどまることで肝臓にも負担がかかり、男性よりも少ない飲酒量や短い期間で肝硬変やアルコール依存症などのリスクも高まるといわれます。
厚生労働省は「節度ある適度な飲酒」の量として、女性の場合、1日の純アルコール量を20g程度としています。
20gを超えると、がんや心疾患などの生活習慣病のリスクが高まるとされています。厚生労働省の調べによれば、1日20gを超える純アルコール量を飲酒している女性の割合は2010年の7.5%が2019年では9.1%に増えています。
お酒と女性特有の疾患への影響
乳がんは女性に最も多いがんで、飲酒と関係があるといわれています。
国立がん研究センターが行なった調査によれば、乳がんにかかった人の飲酒習慣を調べたところ、純アルコール量換算で「週に150g以上飲酒」するグループは、「飲んだことがない」グループに比べ、乳がんリスクが1.75倍(約75%)高いことが分かったそうです。
純アルコール量が150gに相当する飲酒量は、日本酒なら約7.5合、ビールなら大瓶(633ml)約6本、ワインなら約15杯(1杯100ml)、ウイスキーならダブル約7杯だそうです。
また、多量の飲酒は骨密度を減少させるともいわれます。
加齢とともに骨粗しょう症や骨折のリスクが高まることになります。
今はノンアルコール飲料も種類が豊富です。
上手に組み合わせながら楽しく、賢くお酒と付き合っていきましょう。
<参考>
*「わが国の飲酒パターンとアルコール関連問題の推移」(e-ヘルスネット/厚生労働省)
*「e-健康づくりネット/アルコール(女性編)」(厚生労働省)
*「飲酒と乳がん罹患との関係について」(国立がん研究センター 多目的コホート研究)
*「女性とアルコール」(東京都三鷹市HP)
*「女性とお酒」(キリンホールディングス株式会社)