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牛乳でおなかゴロゴロ。乳糖不耐って?

牛乳を飲むとおなかがゴロゴロ鳴ったり、下痢をしたりすることありませんか? 牛乳に含まれる成分を分解できない「乳糖不耐」が原因といわれます。 

どうしてそんなことが起こるのでしょうか? 

 

乳糖が分解できずに不快な症状が 

 牛乳はカルシウムをはじめ栄養が豊富に含まれているので、毎日でも摂取したい食品といわれています。 

 でも、なかには牛乳を飲むと、おなかにガスがたまった感じがする、ゴロゴロする、下痢をするといった不快な症状を訴える人がいます。 

「乳糖不耐症」とか、単に「乳糖不耐」などと呼ばれます。 

多くは牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)を分解する小腸の消化酵素「乳糖分解酵素(ラクターゼ)」の能力が弱いために起こるのだそうです。 

 乳糖が小腸で分解されずに大腸に達すると、腸内細菌によってガスや酸が発生し膨満感や下痢などを引き起こすと考えられています。 

 ただ、大腸内のビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が多い人は、乳糖が小腸で分解されなくても下痢などの不快な症状が出にくいともいわれます。 

 

乳糖不耐は日本人に多い 

 乳糖不耐(症)は、その呼び名のものものしさとは違い、病気というほどではなく、いわば「体質」と考えた方がよさそうです。 

さらに「牛乳アレルギー」と混同されることがよくあるようですが、まったく異なるものといわれています。 

 日本人は乳糖不耐の人の割合が高いといわれます。乳糖分解酵素(ラクターゼ)の働きが弱いか強いかは人種や民族によって差があるようです。 

 例えば日本人を含むアジアでは乳糖不耐の出やすい割合が95100%と高く、北欧や西欧では数%20%程度で、大きな差が見られます。 

 といって日本人のほとんどが乳糖不耐というわけではなく、牛乳を飲んで起こるおなかの不快な症状の有り無しには個人差があるとされます。 

「いつも」と「いつもではないがなる」を合わせて20%程度ともいわれます。 

 

ヨーグルトで乳糖不耐が起きないのは 

 同じ乳製品でも、牛乳ではおなかがゴロゴロする一方、バターやチーズ、ヨーグルトを食べても乳糖不耐がほとんど起きません。なぜでしょう? 

 原料や製法の違いによるといいます。バターは牛乳の中の脂肪を使っているので乳糖がほとんど含まれていません。 

チーズは製造の過程で乳糖のほとんどが失われてしまうといいます。 

ヨーグルトは牛乳を乳酸発酵させたもので、多くの乳糖が含まれているようですが、乳酸菌の発酵によって乳糖が分解され、結果として乳糖が減ることから、乳糖不耐を起こりにくくしているのだそうです。 

チーズやヨーグルトは、牛乳にかわる乳製品として乳糖不耐の人にはおすすめの食品といえそうです。 

 

乳糖不耐の人でも飲める牛乳 

 牛乳を飲むとおなかゴロゴロの人でも、苦手を解消できる飲み方の工夫があるようです。例えば「少しずつ数回に分けて飲む」「温めて飲む」「コーヒー、紅茶に入れる」「料理にプラスする」などがいわれています。 

 また、最近、おなかがゴロゴロしにくい牛乳が注目されているようです。「A2ミルク」と呼ばれる牛乳で、乳糖不耐でも安心して飲めるそうです。 

A2」とは牛乳に含まれるタンパク質の遺伝子のタイプのことだそうです。 

牛乳中のタンパク質の1つβカゼインは、おなかゴロゴロの要因ともいわれ、遺伝子の違いで「A1」型と「A2」型があり、「A1」型の遺伝子が消化不良を起こすとされています。 

多くの乳牛が「A1」型だそうですが、「A2ミルク」は「A2」型遺伝子のみの乳牛から生産されていることから、乳糖不耐を緩和する「おなかにやさしい牛乳」として期待されているようです。 

「牛乳飲むと、おなかがちょっとね……」という人には朗報かも。 

 

<参考> 

*「よくわかる!乳糖不耐(FACTBOOK 2020年3月)」

「牛乳の気になるウワサをスッキリ解決!」(一般社団法人 Jミルク) 

*「知っ得トレンド注目のA2ミルク」(東京新聞/2024.5.13 

*「A2ミルクとは」(一般社団法人 日本A2ミルク協会) 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。

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