プラスコラム
PLUS COLUMN

不調に潜む貧血のお話

最近疲れやすい、眠ってもなかなか疲れがとれない、やる気が出ないなどということはありませんか?  

残暑が長く続いたから「バテているのかも」と思っていたら、貧血が隠れていることもあるそうです。 

とくに女性は要注意。あなたは大丈夫ですか? 

 

不調の原因は体の酸素不足!? 

そもそも貧血とはどんなことをいうの?」と疑問に思われる人も多いかもしれません。 

貧血とは、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンが少なくなった状態をいうそうです。 

ヘモグロビンは血液中の酸素を全身に運ぶ重要な役割があります。 

ですからヘモグロビンが不足して貧血になると、体中の酸素が不足して疲れやすくなったり、頭痛やめまい、動悸・息切れなどの症状が現れてくるといいます。 

 他にも、貧血になると、爪が割れやすくなったり、唇や舌に炎症が起こったり、抜け毛や肌荒れなどの症状も出てくるそうです。 

 

月経のある女性にとくに多い「鉄欠乏性貧血」 

貧血は原因によっていくつかの種類がありますが、最も頻度が高く女性がなりやすいのが「鉄欠乏性貧血」だといわれています。 

鉄はヘモグロビンの材料となるミネラルです。体内の鉄が不足すれば、赤血球のヘモグロビンが十分につくられなくなってしまうのです。 

鉄欠乏性貧血は、とくに20代~40代の月経のある女性に多いことが知られています。 

 

貧血を招くもの 

 でもなぜ女性に鉄欠乏性貧血が多いのでしょう。 

 第一に上げられるのが、月経です。 

女性は毎月の月経で経血と一緒に鉄分も失われてしまうため、男性より貧血になりやすいのです。 

とくに子宮筋腫や子宮内膜症などの病気があると、経血が多いなど月経が重くなりやすく、より貧血が起こりやすくなるといわれています。 

 ほかにも、例えばダイエットで食事制限をしていたり、偏食をしている人は十分な栄養がとれないために、鉄不足から貧血を招くので注意が必要です。 

 また、夏は体内の鉄分が汗とともに流れ出たり、夏バテで食欲が落ちて十分な栄養がとれなくなります。 

秋に調子がでないのは「長かった夏の暑さ疲れによるもの」と思い込んでいたら貧血だったということも少なくありません。 

 

閉経後の女性や男性も注意を! 

他にも痔の出血や、胃・腸など消化器の潰瘍、ポリープ、がんによる出血でも貧血が起こるそうですから、閉経後の女性や男性も貧血には注意が必要です。 

 貧血はゆっくりと進むために気づきにくく、健康診断で指摘されて初めてわかる人も多いそうです。 

   

まずは食事の見直しを 

鉄欠乏性貧血を予防するには、毎日の食事で鉄分を意識的に補給することが大切です。 

食品に含まれる鉄分には、肉や魚、魚介類に含まれるヘム鉄と、野菜や大豆、海藻類などに含まれる非ヘム鉄があります。 

これら鉄を含む食品を積極的に食べましょう。 

ほかにも鉄の吸収を高めるビタミンC(野菜や果物)やクエン酸(柑橘系果物、梅肉など)もあわせてとるとよいそうです。 

 

控えたい食品 

反対に控えたほうがよいのは、インスタント食品やスナック菓子、清涼飲料水など。 

これらに含まれる「リン酸塩」が鉄の吸収を阻害してしまうそうです。また外食やインスタント食品が多い人は、栄養が偏りやすく結果的に鉄不足になりやすいそうですから、できるだけ手づくりの食事を心がけたいですね。 

貧血対策には食事の見直しが必要ですが、健康診断で貧血を指摘されたり、貧血が気になる、不調が続くといった場合は、放っておかずに早めに医療機関を受診することをおすすめします。 

 

 

<参考> 

※『ウィメンズメディカ』(小学館) 

※「貧血の予防には、まずは普段の食生活を見直そう」(e-ヘルスネット 厚生労働省) 

※「貧血・かくれ貧血」(働く女性の心とからだの応援サイト 厚生労働省) 

※「貧血」(健康長寿ネット 公益財団法人長寿科学振興財団 ) 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。