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「うつうつ気分」を回避する“セロトニン”アップ術

さわやかな秋が来たのに「なんだかうつっぽい」「よく眠れない」「ストレスを感じている」という人もいるかもしれません。 

もしかしたら、それはセロトニン不足のせいかも。 

 

セロトニンってどんなもの? 

 ご存知の人も多いかもしれませんが、セロトニンとは脳内で働く神経伝達物質。 

精神を安定させたり、不安やストレスをやわらげる働きがあるといわれています。 

 そのセロトニンの分泌は、日中に太陽光を浴びることで活性化することが知られています。 

 ところが、秋が深まると日照時間がどんどん短くなっていきます。それに伴って体内のセロトニンの分泌も減少する傾向にあるそうです。 

 

気分の落ち込み、過食、体重増加 

 毎年10月~11月ころになると、憂うつな気分が続くようになり、日照時間が長くなる3月ごろから回復するものを「季節性感情障害」といい、「日照時間の短さ=セロトニン不足」が関与しているといわれています。 

一般にうつ病では、食欲が低下したり眠れなくなることが多いようですが、季節性感情障害では、過眠や過食、体重増加など一般的な「うつ病」とは異なる特徴があることが知られています。 

秋から冬にかけては決まって気分が落ち込んで、十分に寝ているのにまだ眠い、スィーツや菓子パンなどやたらと甘いものが食べたくなる……「ああ、そういえば」と思い当たる人も多いのではないでしょうか。 

 

今日から始めるセロトニンアップ術 

 これからの季節に陥りやすい「どんより気分」と体重増加を回避するには、意識的にセロトニンの分泌を増やすことがカギになるといわれています。 

では、どうすればセロトニンの分泌を増やすことができるのでしょうか?  

以下の3つがポイントになるといわれています。 

 

(1)日光にあたるように心がける 

大事なのは目に日光が入ることだといいます。 

朝起きたら、カーテンを開けて太陽の光を浴びましょう。 

ランチは公園のベンチでお弁当を食べたり、ちょっと遠くのお店まで歩いていったり。天気の良い日は散歩をするなど、できるだけ日光にあたるようにしましょう。 

 

(2)一定のリズム運動をする 

 セロトニンを増やすには一定のリズムを刻むリズム運動が効果的だといわれています。 

たとえば、自転車漕ぎやウォーキング、踏み台昇降などもよいそうです。 

 体を動かす運動だけではありません。 

「噛む」こともリズム運動に当てはまりますから、食事中はよく噛むことも大事なポイント。 

また、すぐにできることとしてはガムを噛むことも有効だそうです。 

仕事に煮詰まったときなどは、キシリトールガムなど歯に良いといわれているガムを噛んで、セロトニンの分泌を活発にしたいものですね。 

 

(3)セロトニンを食事で増やす 

 セロトニンを増やすためには、セロトニンの材料となるトリプトファンとビタミンB6を積極的に摂ることも大事だといわれています。 

 トリプトファンを多く含む食品としては、鶏肉や卵、チーズ、大豆製品などに。 

ビタミンB6はマグロやカツオなど赤身の魚や鮭、バナナ、ゴマ、ニンニクなどに多く含まれます。 

 またトリプトファンがつくられる腸内環境にするためには、発酵食品をとることも大切なポイント。 

ヨーグルト、味噌、納豆、キムチ、漬物などの発酵食品も毎日の食卓にのせたいですね。 

  

いかがでしたか。うつうつ気分になりやすい秋冬ですが、今年はセロトニンを味方につけて、心も体も健康に過ごしてください。 

 

<参考> 

※「“幸せホルモン”でストレス解消 運動はリズムにのって」(『きょうの健康』2023年7月号 NHK出版) 

休養・こころの健康「セロトニン」(e-ヘルスネット 厚生労働省) 

※ますます元気大作戦「幸せホルモン・セロトニンを増やして心と体を健康に」(大阪府高槻市) 

「けんこう名探偵」(大原薬品工業株式会社) 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。

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