プラスコラム
PLUS COLUMN

尿酸値が高いと言われたら

健康診断で尿酸値が高いと指摘されたことはありませんか?  

放っておくと、激痛を伴う痛風などを引き起こす他、心配な合併症も。 

今回は気になる高尿酸血症についてのお話しです。 

 

気が付くと高尿酸血症に…… 

 血液検査でわかる尿酸値。男女ともに7.0mg/dlを超えると「高尿酸血症」と呼ばれます。 

尿酸値は高めでも一般に自覚症状がないことが多いために、気が付いたら「高尿酸血症」になっていたという人も少なくないようです。 

 

尿酸」ってどんなもの? 

 でも、そもそも「尿酸」とはどんなものなのでしょうか。 

 私たちの体の中では、細胞が生まれ変わったりタンパク質が分解される際にプリン体という物質がつくられます。 

このプリン体から生じるのが「尿酸」です。 

 尿酸は一時的に体内に溜め込まれた後、通常は尿に混じって排泄されます。 

尿酸の量は通常は体内でほぼ一定に保たれています。 

 ところがプリン体の多い食べ物を食べ過ぎて体内で尿酸がつくられ過ぎたり、腎機能が低下して尿酸の排泄量が減ったりすると、そのバランスが崩れてしまいます。 

その結果、血液中の尿酸の濃度が高まり「高尿酸血症」になるそうです。 

 

痛風はなぜ起こる? 

 ご存知の方も多いかもしれませんが「高尿酸血症」が引き起こす代表的な病気が「痛風」です。 

尿酸の血中濃度が高いと血液に溶け切れない尿酸が鋭い針状の結晶となります。 その後関節に溜まるようになると、足の指の付け根などが赤く腫れあがり、激しい痛みが生じます。 

その痛みはまさに「風が吹いても痛む」といった激痛で「痛風発作」などと呼ばれています。 

ただし、尿酸値が高いからといって必ず痛風になるわけではないようです。 

 

他にも気になる合併症 

また、高尿酸血症になると他にも尿路結石ができやすくなったり、腎臓の機能が低下したりするそうです。 

とくに内臓肥満型の人は、メタボシックシンドロームになる可能性が高くなり、動脈硬化を悪化させて、脳卒中や心筋梗塞など命に関わる病気のリスクも上がるといわれています。 

ただ尿酸値が高いだけでしょ」とあなどっていてはいけません。 

 

閉経後は女性も注意! 

 ところで、痛風といえば圧倒的に男性に多い病気であることが知られています。 

 女性は女性ホルモンには尿酸を排泄する働きがあることから、痛風になりにくいといわれています。 

けれども、食習慣の変化から近年は女性の痛風患者が増えているそうです。 

とくに閉経後は、高尿酸血症から守ってくれる女性ホルモンが急激に減少していくので注意が必要です。 

 

食事とアルコールに注意を 

 食べすぎ、運動不足、ストレス、肥満などが尿酸を増やすといわれています。 

 また、アルコールも尿酸値を上げる原因になります。 

ビールや紹興酒などにはプリン体が多く含まれていることが知られていますが、アルコールそのものに尿酸を増やしてしまう働きがあるそうです。 

日本酒やワイン、プリン体をほとんど含まない焼酎やウイスキーなどにも注意が必要です。 

 食事では、プリン体を多く含む食品として、レバーや白子、海老、イワシ、サンマ、アジなど干物類などがあげられています。 

上記に限らず、プリン体の多い食品はできるだけ控えたほうがよさそうです。 

 

尿酸値を上げないために 

 高尿酸血症の対策は、食べ過ぎ、飲み過ぎに気をつけて、プリン体を多く含む食品はできるだけ控えること。 

反対に積極的にとりたいのが牛乳やヨーグルトなどの乳製品です。プリン体が少なく尿酸値を下げる働きがあるといわれています。 

 食事は腹八分目を心がけ、肥満の人は適正体重に戻す努力をしましょう。 

 また運動も必要です。 

ただし、ウェイトトレーニングや短距離走など、運動強度が高い「無酸素運動」は、尿酸値を上げるといわれているので要注意。 

ォーキングなどの軽い運動(有酸素運動)を定期的に行いましょう。 

ほかに、水分を多めにとることも大切なポイントになります。 

尿量が少ないと尿酸が排泄されにくいといいます。  

しっかり尿を出すためにもこまめな水分補給を心がけましょう。 

尿酸値対策はそのままメタボ対策やがん対策にもつながります。ぜひ実践してください。 

 

<参考> 

※「高尿酸血症」(e-ヘルスネット 厚生労働省) 

※「気になる尿酸値.JP」(株式会社富士薬品) 

「痛風と高尿酸血症」(『きょうの健康』2024年6月号 NHK出版) 

※「現代食事考・かしこく食べる」(千葉県栄養士会) 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。