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ご用心! せき・くしゃみでぎっくり腰

欧米では「魔女の一撃」といわれるほど強烈な痛みが起こるぎっくり腰。 

あの辛さは、なった人にしかわからないかもしれません。 

実はささいなことがきっかけで起こることが多いといいます。 

これからの季節はとくにぎっくり腰に注意が必要です。 

 

ささいな動作でもぎっくり腰に…… 

 ぎっくり腰は「腰痛捻挫」とも呼ばれ、腰が捻挫を起こしている状態だそうです。医学的には「急性腰痛症」といいます。 

 ぎっくり腰というと重いものを持ち上げたときなどに起こるイメージがありますが、それだけではありません。 

たとえば寝ている状態から急に起き上がったとき、靴を履いたり誰かに呼ばれて後ろを振り向くなど腰をひねるような体勢をとった瞬間など、ささいな日常動作がきっかけとなって起こることが少なくありません。 

あの激痛は、腰を支える筋肉や靱帯などが傷つくために起こるもので、動けなくなってしまうこともあるようです。 

まさに「魔女の一撃」のように、腰に突然激痛が起こるのです。 

 

寒い季節は特に注意を 

なぜ、ぎっくり腰が起こるのか、その原因ははっきりとはわかっていないようです。しかし、腰椎を支える筋力が低下していたり、血行不良などで筋肉が硬くなっているとぎっくり腰を起こしやすいといわれています。 

冬は気温が下がって筋肉や関節が硬くなる上に、運動不足になりがちです。せきやくしゃみが引き金となってぎっくり腰が起こることも少なくないようですから、これからの季節、ぎっくり腰には十分な注意が必要ですね。 

 

大きな力が腰周りにかかる 

ところで、日ごろ何気なく行っているせきやくしゃみですが、意外と腰に大きな負担がかかることが知られています。 

せきやくしゃみは瞬間的に腹圧が上昇するそうです。諸説ありますが、せきは時速200kmくらい、くしゃみの場合はそれ以上の時速ともいわれているのですから、相当の腹圧がかかることは間違いありません。 

 とくに、無理に踏ん張ったり力を入れた姿勢でせきやくしゃみをすると、思いもよらない大きな力が腰にかかって、ぎっくり腰になったり、腰痛を悪化させることがあるそうなのでご用心。不用意な姿勢で腰に負担をかけないように注意が必要です。 

 

腰に大きな負担をかけない体勢とは? 

 では、せきやくしゃみをするときにはどんな体勢をとるとよいのでしょうか? 

 気を付けたいのが、両膝を伸ばしたまま急に腰だけをかがめるいわゆる「くの字姿勢」。 

ものを持ち上げるときなどもひざを曲げずに荷物を持ち上げようとすると、腰に負担がかかることが知られています。 

これを避けるために、せき・くしゃみはできるだけ座った姿勢で行うか、立っているときは壁や机などに片手もしくはできれば両手を当てて、体が前かがみにならないようにする。また、周囲に手をつく場所がないときには、自分の両太ももに手をつくなどして力を分散させるとよいといわれています。 

「せきやくしゃみをする姿勢なんて気にしていない」という人も多いかもしれませんが、腰をいたわるためにも腰や背骨へ負荷を軽減させる姿勢を覚えておくとよいでしょう。 

 

<参考> 

※「腰痛攻略」(『きょうの健康』2024年7月号 NHK出版) 

「ぎっくり腰」(日本整形外科学会) 

※「ぎっくり腰の原因と治し方、予防方法について」(オムロン ヘルスケア株式会社) 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。

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