プラスコラム
PLUS COLUMN

感染症対策には腸活も大事

冬は風邪やインフルエンザや新型コロナなどの流行期。 

今回は感染症対策としても重要な「腸活」のお話しです。 

 

冬の感染症にご用心 

 冬本場の到来とともにインフルエンザが急増しています。 

新型コロナやマイコプラズマ肺炎の患者数も急増しているために、新聞やテレビでは、インフルエンザ、新型コロナ、マイコプラズマ肺炎が同時に流行する「トリプルパンデミック」に注意するよう呼びかけています。 

 年末年始を楽しく過ごすためにも、感染症はできるかぎり遠ざけておきたいものですね。 

そのためには、ワクチン接種や手洗い、マスクなど基本の感染症対策とともに、感染症に負けないように体の内側からも免疫機能の働きを高めておくことが大事です。 

運動や入浴で体温を高めたり、睡眠や休養を十分とったり。また免疫力を上げるために近年注目されているのが腸内環境を整える「腸活」です。 

 

腸活で免疫力をUP 

 でもなぜ腸活が免疫力の向上につながるのでしょうか。 

実は、外部から侵入する病原菌やウイルスなどを退治する免疫細胞の約6~7割は腸に集結していることが知られています。 

そのため、腸は体の中の最大の免疫器官ともいわれています。 

 腸は食べ物を消化・吸収する役割がありますが、一方で食べ物と一緒にウイルスや病原菌など有害な異物も取り込んでしまうリスクがあります。 

だからこそ腸には病原菌やウイルスなどを撃退する「免疫細胞」が大集結しているといいます。 

腸内環境が免疫力UPのカギを握っているといっても過言ではないようです。 

 

バランスのとれた食事で整う腸内フローラ 

 ではどうすれば腸内環境をよくすることができるのでしょうか? 

腸内フローラ」という言葉を聞いたことがある人も多いかもしれません。 

腸内には約100兆個もの細菌が種類ごとにまとまって、腸内細菌叢をつくっています。 

その様子がお花畑のように種類ごとに集まって群生しているように見えることから腸内細菌叢を「腸内フローラ(お花畑)」と呼ぶようになりました。 

体の免疫機能は、この腸内フローラのバランスが取れていないと正常に維持することができません。 

腸内細菌は食べ物によって変化しますから、食事が偏っていたり同じメニューばかりが続くと、特定の細菌にだけが増えて、腸内細菌のバランスが崩れてしまいます。 

さまざまな食品をバランスよく食べることが「腸活」の第一歩になります。 

 

免疫システムを活性化させる食生活 

腸活」で近年注目されているものに「短鎖脂肪酸」があります。 

短鎖脂肪酸は、腸内細菌がつくり出す人の健康に有用な物質の1つで免疫システムを活性化する働きがあるといわれています。 

短鎖脂肪酸をたくさんつくるためには、短鎖脂肪酸を産生する善玉菌(ヨーグルト、納豆などの発酵食品や善玉菌のエサとなる食物繊維(とくに大麦や玄米、海藻類、豆類、根菜類、果物類の発酵性食物繊維)などを摂取することが大事だといいます。 

短鎖脂肪酸を絶えずつくり続けていくことが体全体のバリア機能を高めることにつながるそうです。 

野菜、根菜、豆類、きのこ、海藻、納豆など短鎖脂肪酸を多くつくるために必要な食品は和食で効率よくとれるといわれています。 

手の込んだ料理をつくらなくても、できるだけ和食を意識していろいろな食品をとるように心がけて、体の内側から感染症対策をしましょう。 

 

<参考> 

※「腸活で残暑を乗り切る」(『栄養と料理』2024年9月号 女子栄養大学出版部) 

※「和食育」(厚生労働省) 

※「腸活ナビ」(大正製薬株式会社) 

※ビオリエ「腸活に役立つコラム」(帝人株式会社) 

※「腸内細菌が免疫機能を整える? 『短鎖脂肪酸』の意外な役割」(朝日新聞REライフ.Net 朝日新聞デジタル) 

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。