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お風呂の効果を楽しむための作法とは?

仕事や人間関係、家事など何かとストレスがたまりがちな毎日。 

そんなときに身も心も癒してくれるのが「お風呂」。 

でも、入り方によってはお風呂の健康効果をそこなうこともあるとか。 

お風呂の効果を楽しむ方法とは? 

 

お風呂に入るのは「面倒」が6割超え? 

 どんなに疲れていても、たとえ気持ちが凹んでいても、お風呂に入れば気分一新、心も体もすっきりリフレッシュ!  

国民の8割近くの人が「毎日お風呂に入る」という世界一お風呂が大好きなニッポン……ですが、なかには「お風呂に入るのが面倒くさい」と感じる人もいるようです。 

 住宅設備機器大手の株式会社LIXILが行なった『お風呂事情 実態調査』(全国の2060代の男女661人対象/202211月調査)によると全体の65.8%もの人が「お風呂に入ることが面倒と感じることがある」と答えています。 

その理由のトップは「疲れているから」(33.6%)、次いで「睡眠時間の方をより優先したい」(22.1%)、「身体や頭を洗うのが面倒だから」(21.1%)、「お風呂後のケアが面倒だから」「裸になるのが寒いから」(ともに10.8%)でした。分からないでもないですが……。 

 

風呂キャンセル界隈」って何 

「風呂キャンセル界隈」という言葉が話題になりました。 

「界隈」は2024年の流行語大賞にノミネートされ、「近所」「付近」以外に、最近では「共通の趣味や嗜好をもつ集団」などの意味で使われるといいます。 

つまり「風呂キャンセル界隈」とは、「お風呂に入るのが面倒くさいからやめてしまう」といった人たちのことをさすようです。 

先のLIXILの調査のように、様々な理由から「お風呂に入るのが面倒」で入浴をやめる人が一定数いることは確かで、女性の2割近くが週に1回以上「お風呂に入らない日がある」といった調査もあります。 

20歳代にその傾向は顕著だそうで、約4割が「お風呂に入らない日がある」ようです。 

 ただ、それまで当然のようにやっていた入浴をはじめ、着替え、掃除などの生活習慣ができなくなった場合、「セルフネグレクトのサインの可能性もある」と注意を促す専門家もいるようです。 

たかがお風呂に入らないくらいどうして? と侮れません。 

  

健康はお風呂で作られる 

 ともあれ、お風呂は日々の疲れを癒し、私たちの健康と深い関係があるらしいことは確かなようです。 

 たとえば、お風呂で湯船につかると、ストレスホルモンのコルチゾールが減少し、抗ストレス作用があり幸せホルモンともいわれるオキシトシンの分泌が増えるといいます。 

 さらに、毎日お風呂に入る人の方が入らない人よりも、またシャワーだけよりも湯船につかる人の方が幸福度が高いという調査もあるようです。 

 健康効果もさまざまいわれています。 

入浴による主な作用には、温熱作用と水圧作用、浮力作用があるといいます。 

これらの作用により、体が温まって血管が広がり、血流がよくなって新陳代謝が活性化し、免疫力がアップするといわれます。 

また筋肉の柔軟性が高まって全身がリラックス状態になり、さらに神経の過敏性が抑制されることで痛みの軽減に役立つなどともいわれます。 

 

40℃のお湯に10分入浴がより効果的? 

 お湯の温度の好みは人それぞれ。熱いお湯が好きな人もいれば、ぬるめのお湯が好きな人も。 

ただ、お風呂の健康効果を考えた場合、それに見合った入浴方法もあるようです。 

 たとえばお湯の温度は3941℃くらいで、入浴時間は1015分程度が目安のようです。 

それによって体温が1℃前後上がって血液が全身に行き渡り、入浴後のリラックスにつながるようです。 

それ以上の温度だと交感神経が活発に働いて寝つきが悪くなったり、血圧の上昇や脱水のおそれもあるといいます。 

さらに20分以上の長湯、長風呂はのぼせ(入浴熱中症)を起こして脱水状態になる可能性や肺、心臓への負担、肌の乾燥も心配です。 

 入浴の際は肩までお湯につかる「全身浴」が効果的といいます。 

半身浴では温熱作用や浮力、水圧作用の恩恵が十分でないこともあるようです。 

何かとストレスの多い昨今、お風呂に入って「浮世の垢も憂さ」もきれいさっぱり流してしまいたいですね。 

 

<参考> 

*「『あなたのお風呂事情』(2022.11.1014調査)」(株式会社LIXIL 

*「令和5年度特定健康診査 結果活用ガイド」(武蔵野市健康福祉部) 

*「長風呂(長湯)の効果って? デメリットはあるの?」(アース製薬株式会社) 

*「ニュースあなた発/風呂キャンセル界隈」(東京新聞/2024.11.29 

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。

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