
冬のかゆみと乾燥肌
冬は1年の中でももっとも温度と湿度が低くなる季節。加えて暖房器具の使用で空気がカラカラに。
これからの季節は、皮膚の乾燥によるかつさつき、かゆみに悩む人がふえてきます。皮膚トラブルをひどくしてしまう前に、しっかり対策をとりましょう。
「皮脂」は肌を守ってくれている
冬になると、すねや腕、腰などがカサカサになってかゆくなることはありませんか?
もしかしたら、それは「皮脂欠乏症」や「皮脂欠乏性皮膚炎」といわれるものかもしれません。
乾燥肌というと単に皮膚の水分不足で起こるように思えるかもしれません。
けれどもそれだけではありません。
皮膚の表面の角質層に水分が保持されていると、健康でうるおいのある肌の状態を保つことができます。
その角質層に保持された水分を逃さないように皮膚の表面を覆っているのが「皮脂膜」と呼ばれるもので、汗と皮脂が混ざり合ってできているものだそうです。
皮脂膜は皮膚のうるおいを保つと同時に、外界の刺激から皮膚を守るバリア機能の働きもしているといいます。
「皮脂」というと、「顔にテカリをもたらすもの」として悪者扱いされがちですが、実は適度な分泌量があることで、肌の健康を維持してくれているのです。
気温の低さと乾燥で、皮膚はカサカサに
肌表面の乾燥を防ぐ皮脂の分泌量は年齢とともに減少していきますが、気温も大きく影響します。
夏は皮脂の分泌量も増えますが、気温が低い冬は、皮脂の分泌量が減少し、皮膚膜も薄くなるそうです。
すると、肌内部の水分が蒸発しやすくなって、皮膚の乾燥がどんどん進んでしまうといいます。
加えて冬は湿度も低下します。
一般に肌にとって最適な湿度は50~60%といわれていますが、暖房のきいた室内にいて、気づくと湿度が30%程度で空気がカラカラになっていたということも少なくありません。
皮膚にとって冬は過酷な季節だといえるかもしれません。
かゆみの悪循環に注意
冬はお肌の手入れをしっかり行っている人も多いでしょう。けれども、ボディケアは意外とおざなりになりがちです。その結果皮膚が乾燥し、かさつきやかゆみ、赤みなどの症状が出てくることが少なくありません。
かゆみがあるときは、つい体をかいてしまいますが、かくことで皮膚が傷ついてますますかゆくなるという「痒みの悪循環」に陥るので気をつけて。
こんなときは皮膚科を受診して、かゆみ治療をしてもらうことがいちばんのようです。
うるおい肌を保つためのポイント
皮膚のうるおいを保つためには、以下のような日常生活の見直しも大切なポイントになります。
(1)乾燥を防ぐ入浴法
熱いお風呂や長湯は皮脂を取り去って乾燥肌を助長させます。
肌の健康を考えるなら、ぬるめにして長湯をしないようにしましょう。
また汚れは皮膚の一番表面の皮脂膜にたまりますので、お湯に入るだけでも十分落ちるそうです。
乾燥が気になるときは、毎日石けんを使って体全体を洗う必要はないといわれています。
硫黄成分には皮膚を乾燥させる作用があるそうなので、皮膚のかさつきがあるときは硫黄成分が入った入浴剤は使わない方がよさそうです。
(2)入浴後の保湿
皮脂の分泌量の低下を補うためには、十分な保湿ケアが大切です。
保湿剤は入浴直後、体がしっとりしているうちにたっぷり塗るのが効果的だそうです。
ボディミルクやボディクリーム、ワセリンなど好みに合ったものを使いましょう。
(3)部屋の乾燥対策
暖房をきかせすぎないことも大切です。加湿器を使って室内の湿度を保ちましょう。湿度40~50%以上が理想だといわれています。
コタツや電気毛布を長時間使用することも皮膚を乾燥させる原因となるので気をつけましょう。
また睡眠不足やストレスなども肌ストレスを助長させるといわれています。
栄養バランスを心がけるなど、生活習慣にも注意をして、寒さや乾燥に負けないうるおい肌を保ちましょう。
<参考>
※「保湿に汗対策! スキンケアはどうする?」(『きょうの健康』2024年7月号 NHK出版)
※『産後ママの体と心 トラブル解消BOOK』(NHK出版 監修:対馬ルリ子)
※「乾燥肌(皮脂欠乏症、乾皮症)(千葉県医師会)
※「乾燥肌の原因」(くすりと健康の情報局 第一三共ヘルスケア株式会社)
※「乾燥肌(ドライスキン)』『乾皮症』の原因・症状・治療法」(ヒフノコトサイト 田辺三菱製薬株式会社)