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乾燥する季節は舌の汚れにご用心

突然ですが、鏡に向かってベーッと大きく舌を出してみてください。 

舌の中央から奥の部分が白っぽくなっていませんか?  

もしかしたら、それは口臭の原因にもなる「舌苔(ぜったい)」かもしれません。 

 

舌苔の正体は細菌の塊? 

 舌苔とは舌の汚れのこと。 

舌に付着している「白っぽいもの」の正体は、舌表面から剥がれた組織や食べものの残りカス、細菌などが集まったもの。 

歯の表面に付着する「プラーク(歯垢)」と同じような細菌の塊だそうです。 

 舌苔があると虫歯や歯周病のリスクが高まり、高齢者では誤嚥性肺炎の原因にもなることが知られています。 

また舌苔は口臭の大きな原因となり、口臭の約6割が舌苔から発生しているともいわれています。 

さらに、厚く付着した舌苔にウイルスなどが付着すると、インフルエンザなどの感染症にかかりやすくなるとされています。 

風邪やインフルエンザ、新型コロナが流行るこの時期には、とくに注意が必要ですね。 

 

舌苔が付着しやすいのはこんな人 

 でもなぜ舌苔が付着してしまうのでしょうか。 

健康な人でも多少の舌苔はあるそうです。 

けれども、以下のような人は舌苔が付着しやすくなるといわれています。 

(1)口呼吸していたり、ストレスなどで唾液の分泌が減って口の中が乾燥している 

(2)唾液が少ない 

(3)口内を清潔に保てていない 

(4)柔らかい食べ物を好み、ほとんど咀嚼しないで飲み込んでしまう 

(5)会話が少ない生活をしている 

(6)喫煙 

など。 

ほかにも抗生物質や副腎皮質ホルモンなどによる薬の副作用や口腔カンジダ症やシェーグレン症候群、アレルギー性鼻炎などの病気が原因となっていることもあるそうです。 

 

1日1回舌掃除を 

 舌苔が厚くなると菌の温床となるので、適度に舌の掃除をした方がよいといわれています。 

といっても、舌の汚れをゴシゴシとこすり取ってはダメ。 

デリケートな舌の表面を傷つけてしまうからです。 

舌専用のブラシが市販されていますので、できれば専用の「舌ブラシ」を使って1日1回、舌苔が多くついている起床後にやさしく舌掃除をするとよいそうです。 

舌掃除は、舌の奥から前方に向けて、撫でるようにしてやさしく行います。 

長い時間かかって付着した舌苔は1回の掃除では取れないので、無理せず日数をかけて少しずつケアしていきましょう。 

 

日常生活で心がけたいこと 

 舌掃除とともに舌苔を付きにくくする対策も心がけたいですね。 

舌苔を付きにくくするには、舌を動かして唾液を十分に出すことだといわれています。 

そのためにも食事はよく噛むことを心がけましょう。繊維質の野菜など硬いものを噛むと、噛む回数が増えて舌の動きも活発になるそうです。 

む回数を増やせば唾液が十分に分泌されて口の中が潤い、舌苔が付着しにくくなるそうです。 

 また口呼吸の癖がある人は、口の中が乾燥しがちです。 

意識的に鼻呼吸を心がけましょう。 

とくに空気が乾燥しがちな冬は、しっかりと水分補給を心がけて口の中のうるおいを保つことも大切です。 

 ケアをしても舌苔が気になるときは、歯科を受診して相談するとよいかもしれません。 

 東洋医学では体の状態を現す指標の1つとして「舌診」を行って舌の状態を診るそうです。 

舌は健康のバロメーターともいわれています。 

毎日の心がけで舌の清潔を保ちたいものですね。 

 

<参考> 

※『ウィメンズ・メディカ』(小学館) 

※「舌苔」(もっとよく知る病気ガイド! 兵庫医科大学病院) 

「舌のケアでインフルエンザ対策」(日本訪問歯科協会) 

※「口臭の治療・予防」(e-ヘルスネット 厚生労働省) 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。

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