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気になる冬の尿もれ

冷たい水を触ったり寒い場所に出たりすると急にトイレに行きたくなったり、尿もれが気になることはありませんか?  

今回は冬に増えてくる尿トラブルの話です。 

 

 

尿もれに悩む人は案外多い 

尿トラブルの中でも尿もれなどは人には言いにくい悩みの1つかもしれません。 

特に尿もれは「私だけが……」と思い悩みがちですが、日本泌尿器科学会によると、尿もれは40代以上の女性の4人に1人が経験しているといいます。 

寒い季節は尿トラブルが増えるとき。憂うつな気分を抱えて冬を過ごしている人も多いのではないでしょうか。 

大王製紙エリエールが冬場のトイレ事情について行った調査(「冬の尿トラブル最新事情」20〜60代の男女500名を対象に2023年実施)によると、「トイレに行く回数が増えると感じる季節」では54%が「冬」と回答しています。 

また尿もれについては「尿もれしそうになった人」は「尿もれ経験者」とあわせるとほぼ2人1人と意外に多いのです。 

多くの人が尿もれのヒヤリ経験があるにも関わらず、約8割の人が「尿もれを誰にも相談していない」と回答しています。 

アンケート調査からは、密かに尿もれに悩む人が実に多いことが浮かび上がってきます。 

 

冬にトイレの悩みが多くなるわけ 

 なぜ冬はトイレの悩みが増えるのでしょう? 

 1つは体の水分量が関係しているといわれています。 

汗と尿は体内の水分を調節する役割があります。 

夏はたくさん汗をかくために尿量が減りますが、寒い季節は汗をかく量が減るために、その分、尿の量が増えてトイレが近くなるといわれています。 

 また寒さで膀胱の筋肉がきゅっと縮むことで、尿をためにくくなってトイレが近くなったり、体が冷えて血流が低下すると、膀胱が敏感になって尿をためる余裕があるのにもかかわらず、強い尿意を感じてしまうことがあるそうです。 

 とくに女性は男性に比べて尿道が短く、尿道を支える筋肉も弱くなりがちなので、尿もれを起こしやすいといわれています。 

 

自分でできる尿もれ対策 

 寒い季節の尿もれ対策は、まずはセルフケアから始めて見ませんか? 

大切なのは体を冷やさない事だといわれています。腹巻やカイロなどでおなかを温めることを心がけましょう。 

 また、水分補給は夏に限らず冬も大切ですが、カフェインやカリウムには利尿作用があることが知られています。 

コーヒー、紅茶、緑茶、コーラなどのカフェインを含む飲み物やビール、赤ワイン、トマトジュースなどのカリウムを多く含む飲料を飲むとトイレが近くなるので気をつけて。外出するときなどは控えたほうがよさそうです。 

冬は白湯やカフェインをほとんど含まないハーブティー、ルイボスティーなどを飲むことをおすすめします。 

また、軽い尿もれなどは「骨盤底筋体操」などのケアで改善できることがあるそうです。 

「骨盤底筋体操」「骨盤底筋トレーニング」などで検索するといろいろと紹介されているので、参考にしてみてください。 

 

一人で悩まずに泌尿器科を受診して 

ところで、ひとくちに尿もれといっても、せきやくしゃみ、笑ったときなどおなかにちょっと力が入ったときにもれてしまう「腹圧性尿失禁」、尿意を感じて急いでトイレに向かっても間に合わずにもれてしまう「切迫性尿失禁」など、さまざまなタイプがあるそうです。 

一人で悩まず泌尿器科を受診して適切な治療を受けましょう。 

泌尿器科は男性が受診するイメージがあるようで、女性は行きにくいという声もありますが、最近は女性泌尿器科を標榜する医療機関も増えています。 

 頻尿や尿もれは命に関わる病気ではありませんが、旅行に行けない、外出しても楽しめないなど生活の質(QOL)を損なうトラブルです。 

 憂うつなトラブルを早く改善して、毎日を快適に過ごしましょう。 

 

<参考> 

「頻尿&尿もれ」(『健康』2025年冬号 主婦の友社) 

「産後ママの心と体トラブル解消BOOK(NHK出版 対馬ルリ子著) 

「冬のトラブル最新事情」(大王製紙株式会社【エリエール】) 

※「尿が漏れる・尿失禁がある」(日本泌尿器学会) 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。