
花粉症が及ぼす経済損失は
花粉症の人にとっては、憂うつな季節がやってきました。さまざまな不快症状をもたらす花粉症は身体症状にとどまらず経済的損失も生み出すようです。
3人に1人はスギ花粉症!?
花粉症はスギやヒノキなどの花粉をアレルゲンとする季節性のアレルギー疾患。
2019年に行った全国調査によると、日本人の約半数が花粉症にかかっており、スギ花粉症は3人に1人の割合でかかっているといわれています。
花粉症に悩む人は10年間で10%以上も増加しているそうです。
花粉症は誰がいつ発症してもおかしくない「国民病」ともいえるのです。
花粉の時期になるとこんな症状が
花粉症の代表的な症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり。目のかゆみや充血に悩まされる人も多くいます。
しかしそれだけではありません。
頭が重苦しくなったり、花粉皮膚炎と呼ばれる肌荒れが起こったり、他にも、下痢などの胃腸症状やのどのかゆみ、不眠、集中力の低下やイライラ感、顔や体のほてり、倦怠感などさまざまな症状が現れることがあるそうです。
花粉症が及ぼす経済損失
つらい症状は、仕事にも大きな影響を及ぼします。
株式会社東京商工リサーチでは、2023年にインターネットによる「企業の花粉症影響アンケート調査」(有効回答5,735社)を実施。それによると、花粉症が業務に悪影響を与えていると回答した企業は3.9%、「少し与えている」と回答した企業は24.0%。両方をあわせると約3割の企業が何かしら悪影響があると回答していました。
花粉症の与える影響で、最も多かったのは、「従業員の作業効率の低下(91.0%)」でした。アンケート調査では「止まらない鼻水、我慢できない目のかゆみなどで集中力が続かず、生産性や作業効率の低下は経営課題となっている」と分析しています。
また、「医療機関受診を理由とした遅刻・早退・休暇の増加」をあげている企業も21.1%いました。
花粉症の影響による労働生産性の低下も問題になっています。
政府広報オンラインによると「花粉症による生産性の低下は、1日当たり2,215億円の経済的損失を招くという試算もある」としています。
花粉症という社会問題を解決するために政府は「発症等対策」「発生源対策」「飛散対策」の取り組みを進めているようです。
放置すれば年々悪化。早めに受診を
花粉症は放っておいても治るのではと思う人もいるかもしれません。けれども、これは誤った認識です。花粉症は一度発症する完治するのは難しい病気だそうです。
しかも放置していれば花粉の飛散量ともに症状がどんどん悪化して、症状を抑えるのが難しくなっていくといわれているのでご用心。
スギ花粉患者のうち、重症または最重症に該当する人が約7割もいるという報告もあるそうですから、早めに耳鼻咽喉科や眼科などの医療機関を受診するのがおすすめです。
花粉症の治療は、薬物療法やアレルゲン免疫療法、手術療法、抗体療法による最新治療など、症状や重症度にあわせてさまざまな選択肢があります。
また例えば眠くなりにくい薬、1日1回の服用でよい薬などがありますから、医師に相談して自分のライフスタイルに合った薬を処方してもらうとよいでしょう。
症状の悪化は生活習慣も影響
ところで、花粉症対策をしているのに、症状がちっとも軽くならないという人は、実は睡眠や食事などのNGな生活習慣が影響していることがあるそうです。
過労、寝不足、ストレス、喫煙、アルコールの飲みすぎ、脂質の摂り過ぎや体を冷やす食べ物の食べ過ぎなど、偏食など、生活習慣の乱れがあると免疫機能が正常に働かなくなって症状を悪化させることになるので注意が必要です。
花粉症の人もまだ花粉症になっていない人も、早めに花粉症対策を行って花粉の時期を乗り切りましょう!
<参考>
※「国民病 花粉症」、「政府の花粉症対策3本柱」(政府広報オンライン)
※「花粉症について」(経済産業省)
※「花粉症の治療法最前線」(日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会)
※健康の森「花粉症」(日本医師会)
※TSRデータインサイト「花粉症の鼻水、くしゃみで「効率低下」 約3割の企業が業務に「悪影響」と回答」(株式会社東京商工リサーチ)
※「あなたはどれほどツラい!? 花粉症の重症度セルフチェック」(株式会社ウェザーニュース)