プラスコラム
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洗顔のヒミツ

夏は汗をいっぱいかくので、洗顔の量も増えがちですが、皆さん、一日に朝晩以外に、洗顔料を使って顔を洗ったりしていませんか? もし洗っていたとしたら、秋口、あなたの肌の乾燥は半端でないかもしれません。

というのも、洗顔は、肌表面の汚れを落として肌を正常に保つと同時に、肌の潤い成分、NMFや細胞間脂質が溶け出すことが分かっているからです。それも、乾燥肌ほどバリア機能が弱いから、溶け出す量が激しい。洗顔後、なにもしないとつっぱり感があるのは、まさにその現れです。それは分かっていても、肌表面の刺激物質を取りのぞくことが健康な肌を維持するためには勝るので、洗顔は大切、といわれるのです。




ですから、たとえ洗顔料を使わなかったとしても、洗いすぎは乾燥を招く。これは事実です。
長く洗顔料の研究をしてきた花王ではそのことに着目し、洗顔料の本分である、汚れを落とすことはしても、肌にもともとある潤いは溶かし出さない技術を研究し、この秋からビオレの洗顔料にその機能を搭載させたことは、私的にトピックスでした。
毎朝晩、洗顔するたびに肌の内側にある大切な潤い成分まで溶け出ているなら、保湿化粧品を与えても、乾燥肌人口が減らないのは無理ないかも。
 

肌の乾燥を訴える女性が急激に増えてきた十数年前から、洗顔料は使わなくていい、という美容理論を唱えているも方けっこういます。そして、夜、メイク落としを使っているなら、それは一理ある、と私も思います。

以前は、クレンジングはメイクの油性の汚れを、洗顔料は古い角質や雑菌を落とすアイテムと分けて考えていて、だからダブル洗顔(クレンジング+洗顔料による洗顔)が必要です、といわれてきました。しかし今のクレンジングは質がよく、クレンジングをすれば、肌表面の汚れや古い角質もほとんど落ちるので、ダブル洗顔はあまり必要ないのです。とはいえ、クレンジングを使ったあとの、なんとなくぬめる感じが気になり、私は軽く洗顔料で洗顔をしているのですが。

それに、「顔を洗って出直す」という言葉のとおり、日本人は顔を洗うという行為は、リフレッシュや、頭の切り替え、悪いものを洗い流す、といったメンタル的な要素も大きく、私はこの部分も大切だと思っています。洗いすぎはいけないけれど、洗顔はだから、やめられない。
 

ある調査では、敏感肌な人ほど、洗顔の回数が多いという結果があります。肌を清潔にして、悪い者をよせつけない、という意識が働くのでしょう。でも、それは誤りです。敏感肌は乾燥からきていることが多いので、洗うほど悪化させることになります。
汗をかいたら、ハンカチやタオルでおさえる(ごしごしこすってはダメです)。スポーツの後など大汗をかいて洗わないと気持ち悪いという場合も、すすぐだけで十分です。
洗顔料を使っての洗顔は朝晩の2回までに。朝一回でもいい。肌の乾燥が気になる方は、回数を気をつけてみてください。減らすだけで、案外簡単に、つっぱらない肌に戻れる可能性大ですよ。

プロフィール

山崎多賀子
(やまざき たかこ)
山崎多賀子

1960年生まれ。
会社員、女性誌の編集者を経てフリーに。雑誌やwebなどで美容、健康記事や美容ルポルタージュ、エッセイなどを手がけ、各誌で活躍。2005年に乳がんが発覚、2006年から女性誌に闘病記を掲載し話題に。
また、美容ジャーナリストという職業と闘病経験を活かし、乳がん治療中もいきいきとキレイでいられるためのメイク法や検診の重要性などを各地で講演。
著書に『「キレイに治す乳がん」宣言!』(光文社)、『山崎多賀子の極楽ビューティ体験記』(扶桑社)がある。
NPO法人キャンサーリボン理事。NPO法人キャンサーネットジャパン認定乳がん体験者コーディネーター。

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