プラスコラム
PLUS COLUMN

褒め美人のヒミツ

今回は、外見とメンタルとの関係について、お話しです。
雑誌やテレビで美容特集は人気ですよね。スキンケアにボディケア、メイク、ヘアスタイルに至るまで、美に関するテーマは、年齢にかかわらず、人気です。

では、女性たち(男性も)は、なぜキレイになりたいのでしょう。
「男にもてたい」うんうん、これとっても大事。「同性の憧れの的になりたい」うんうん、最近は異性より同性の目を意識して、オシャレする人が増えていますね。
つまり、キレイになりたい理由は、周りの人から好感を持たれたい。これが一番大きいのです。
 



自分が楽しいから、自分に自信を持ちたいからメイクする、という人も多いけれど、自分のためといいつつも、周りの評価があればこそ楽しいし、自信がつくのでメイクのやりがいもでてくる。もし、誰もが自分に無関心だったら、オシャレはしなくなると思います。
つまりヘアスタイルも、メイクも、ファッションも、他者がいるからステキに装って自己主張したいと思う。美の基準に決まりはないけれど、美しく装うことは、とても社会的な行為なのです。そして、私の信頼する、心理学者で外見について研究をしている野澤桂子先生によれば、メイク(装いと置き換えてもいい)は、その役を着る行為、なんだそう。ゴージャスなメイクをしたら、ゴージャスな役を着ることができる。

たとえば大人しい性格の人がワイルドに装うと、視覚から入った姿がメンタルに影響して、内面に隠れていた大胆な部分が出てきたりします。こんなふうに、外見の役に自分がなりきる経験は、多かれ少なかれ、誰にもあることですよね。
私のライフワークのひとつとして、がん患者さん対象にメイクセミナーを行っていますが、最初はうつむき加減で参加された方、元気に見えるメイク法をお教えすると、どんどん目が輝きはじめ、帰りには性格まですっかり明るさと自信(つまり自分らしさ)を取り戻しているのです。これは、元気な自分の役割を着たからなんですね。
 

ただし、メイクをして鏡で「私ってキレイ」と思ったとしても、それだけでは、その人の自信は未完成なんだそうです。自分の意見は客観的でないから。ところが、他者から、「今日はキレイね」と言われると、未完成だった自信が完成するんだそうです。
それくらい、他者の評価は大きい。
私もよく経験します。「今朝は肌の調子がいいわ」と鏡をみて機嫌良くスタートしたのに、仕事先で「山崎さん、今日疲れてるね」と言われ、朝の自信を木っ端微塵にされてしまうことが。トホホ。そしてつい、「徹夜したもんだから」などと嘘をついて、本当に私の肌はもっとキレイなのよ、と、無意味に暗喩してみたり。あ、ちょっとズレました? でもとにかく、あなたが発する外見へのひと言は、相手の自信にも、自信喪失にもつながるのです。
 

だから、誰かと接していてキレイだな、魅力的だな、と思ったら、思うだけでなく言葉で褒めてほしいのです。すると言われた相手は嬉しくなり、自信をもつことができます。ただし、ごますりやおべっかは、すぐに見透かされるのでダメ。褒めすぎもだめ。その人のいいところを見つけたら、さり気なく褒める。褒め上手な人は、不思議と魅力的です。自分を褒め、評価してくれる人なのだから、魅力的に見えるんです。

では、マイナスな評価を言わないほうがいいかというと、これは微妙。近しい人へ愛情をもって改善可能なアドバイスする場合のみ、OKなこともあるけれど、そうでなければ、不用意に外見のことは言わないほうがいい。

自分のキレイにこだわる人なら、分かるはず。褒められることの嬉しさが。相手のいいところを見つける目を持つこと。褒め上手になること。これが人から愛され、魅力的に見られる秘訣です。

プロフィール

山崎多賀子
(やまざき たかこ)
山崎多賀子

1960年生まれ。
会社員、女性誌の編集者を経てフリーに。雑誌やwebなどで美容、健康記事や美容ルポルタージュ、エッセイなどを手がけ、各誌で活躍。2005年に乳がんが発覚、2006年から女性誌に闘病記を掲載し話題に。
また、美容ジャーナリストという職業と闘病経験を活かし、乳がん治療中もいきいきとキレイでいられるためのメイク法や検診の重要性などを各地で講演。
著書に『「キレイに治す乳がん」宣言!』(光文社)、『山崎多賀子の極楽ビューティ体験記』(扶桑社)がある。
NPO法人キャンサーリボン理事。NPO法人キャンサーネットジャパン認定乳がん体験者コーディネーター。

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