プラスコラム
PLUS COLUMN

冬と肌のヒミツ

本格的に寒くなってきましたが、風邪などひいていませんか?

体が冷えると免疫力が低下(体温が1度下がると免疫力は37%も下がるそうです)するので、風邪やインフルエンザにかかりやすくなりますからね。私はがん患者でもあるので、免疫力が衰えるのがとくに怖い。免疫細胞は主に腸内でつくられるので、お腹を冷やさないことが大事。手足が冷えると、手足を通過して冷えた血液がお腹に戻ってくるので、冷え性対策も大事です。
お腹と三つの首。つまり首、手首、足首を温める。これは基本です。
 

ところで冷えは体内のことだけでなく、お肌にとっても悪いっていうことご存じですか? 

秋から冬に移り変わりを、急激な肌の乾燥で感じることってありませんか?急にカサカサして粉をふいたり、洗顔後のつっぱり感が激しかったり。その理由は、寒くなると血行が悪くなる。皮脂の分泌が少なくなる。冬は空気が乾燥しているから水分が蒸発する。などが言われていました。

最近では興味深い原因が発表されています。化粧品メーカーのポーラらの研究によると、皮膚のバリア機能に重要な役割を果たす温度センサータンパク質「TRPV4」(トリップ・ブイフォー)が冷えによって活性しなくなるらしいのです。

肌のバリア機能は、肌内部の水分蒸散を防ぎ、外部からの刺激を肌の内側に入れないようにブロックする、大切な役割をしていて、そのすべてを肌表面の薄い表皮、そのなかでも外気に触れている角層が担っているのです。バリア機能が弱まると乾燥がすすみ、刺激に敏感になり肌荒れや湿疹、ひいては老化につながるので、健全なバリア機能は、美肌の最大条件。それが肌表面の冷え、「肌冷え」によってバリア機能を低下させ、敏感に傾むくことが科学的にわかってきたのです。
 

しかも、睡眠不足やストレスによって体温調節がうまくいかなくなり、低体温になることは知られているけれど、ストレスでも「肌冷え」現象は起こるよう。そしてバリア機能を損なわない最適な頬の温度は33度なんだそう(肌表面って体温計ではきっと測れないと思うので、自分の温度はわかりませんが)。
もちろん顔だけでなく体の皮膚も同じこと。急に手足が乾燥してチクチクするのは、冷えによるバリア機能低下の可能性大なんです。
 

冬の肌冷えは、バリア機能が衰え敏感化し美肌を損なう。だから保湿するだけでなく、長時間寒い場所にいるときは、マスクやマフラー、ネックカバーなどで肌をなるべく冷やさないことも大切なんです。そして肌が冷たく感じたら手のひらで軽くマッサージするように触ったり、温湿布しましょう。ただし、手のひらが冷たいと逆効果です。

ファッションで冬でも肌を露出している人がいますが、体と肌のことを思ったら、冬はやっぱり温かくして過ごしたほうがいいようです。

プロフィール

山崎多賀子
(やまざき たかこ)
山崎多賀子

1960年生まれ。
会社員、女性誌の編集者を経てフリーに。雑誌やwebなどで美容、健康記事や美容ルポルタージュ、エッセイなどを手がけ、各誌で活躍。2005年に乳がんが発覚、2006年から女性誌に闘病記を掲載し話題に。
また、美容ジャーナリストという職業と闘病経験を活かし、乳がん治療中もいきいきとキレイでいられるためのメイク法や検診の重要性などを各地で講演。
著書に『「キレイに治す乳がん」宣言!』(光文社)、『山崎多賀子の極楽ビューティ体験記』(扶桑社)がある。
NPO法人キャンサーリボン理事。NPO法人キャンサーネットジャパン認定乳がん体験者コーディネーター。

関連キーワード