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絆ホルモン「オキシトシン」って?
絆ホルモン「オキシトシン」がふたりの愛をつなげてくれる
最近、注目を浴びているホルモンがあります。それが脳の視床下部というところでつくられる「オキシトシン」。別名「愛情ホルモン」とか「幸せホルモン」、「絆ホルモン」とも呼ばれています。
赤ちゃんとお母さんの絆を深めるオキシトシン
「オキシトシン」というと、子どもをもつお母さんなら「ああ、聞いたことがある」と答える人が多いかもしれませんね。なぜなら、オキシトシンは、出産・授乳に大きな役割を果たすホルモンとして知られているからです。
オキシトシンは、出産時に大量に分泌されて陣痛を誘発し、母乳を出すカギを握っています。母乳は赤ちゃんにおっぱいを吸われることで、オキシトシンが分泌され、オキシトシンの働きにより母乳が出るというわけ。
お母さんは、赤ちゃんの泣き声を聞くと反射的に胸が張るという不思議な現象も、実はこのオキシトシンの働きによるものなのです。
さらに授乳中は、母子ともに大量のオキシトシンが分泌されて、母と子の絆が深まることが知られています。
「信頼」の基盤づくりにはオキシトシンが作用していた
さて、出産や授乳に大きな役割を果たすオキシトシンですが、女性だけでなく男性もオキシトシンが分泌されます。
そして最近の研究では、男女の恋愛行動を含めたさまざまな社会行動に関係することがわかってきたのです。
たとえば、米・クレアモント大学院大学のポール・ザック博士は、脳内のオキシトシンレベルが上がると、赤の他人に対する反応がより寛大でやさしいも のになることを示す多くの実験を行ってきました。その結果「人間が相手を信頼できるか否かを決定する際に脳内化学物質のオキシトシンが関与している」と結 論づけています。
では、いったいオキシトシンというホルモンは、どんなときに多く分泌されるのでしょうか。それは「スキンシップ」するときです。
手を握る、ハグする、腕をからめる、体にやさしく触れる。オキシトシンは心地よいボディタッチやマッサージ、そしてセックスのときにも多く分泌されます。
オキシトシンが増加して脳内に作用すると、警戒心が解けて、相手に対する信頼感が向上するといわれています。また、相手への愛情も深まり、愛着がわく、つまり離れがたくなるといった感情も湧きおこるそうです。
「オキシトシン」が彼の浮気を防止する
最近では、ドイツの研究で、「男性の浮気を防止するには、オキシトシンが有効だ」という実験結果も出ています。
男性にオキシトシンを含有した点鼻薬を投与したところ、既婚男性では、魅力的な女性にアプローチされても「うっとうしい」と感じ、その女性から距離を保とうとすることがあきらかになったのです。
また、オキシトシンのレベルが高いカップルはそうでないカップルと比べて、より頻繁に笑いあうという研究報告もあるそうです。
人と人との信頼感を育み愛情を深めるホルモン・オキシトシン。
最近、パートナーとの間がマンネリ気味という人は、さりげなく手をつないだり、肩にやさしく触れるなどして、意識的にスキンシップを増やすことを心がけてみてはどうでしょうか。