プラスコラム
PLUS COLUMN

肉を食べて幸せに――気持ちが凹んだときは肉を食べよう!

仕事で失敗をしてしまった! 好きな人にフラれた! 夫婦ゲンカで相手からなじられた……こんなとき、あなたは気分の落ち込みをどう解決しますか?

カラオケで歌いまくる、友達に愚痴を聞いてもらう、寝てしまう、甘いものを食べまくるなど、人によって解決策はいろいろあると思います。でも、実は「焼き肉やステーキを食べる」のも効果がありそうです。というのも、肉を食べると脳内で「セロトニン」や「アナンダマイド」という気持ちを明るくしてくれる「幸せホルモン」がつくられるのだとか。肉が「うつうつ脳」を吹き飛ばしてくれるというのです。

 

元気ホルモンを増やすには、食事が決め手

セロトニンというのは、「気分・感情」をコントロールするのに欠かせない神経伝達物質で、うれしいときや楽しいときに増加し、気持ちをリラックスさせたり、体に元気を与えてくれます。他にも体温の調整や睡眠の質などにも関係しているともいわれ、セロトニンが活性化していると朝すっきりと目覚められます。

反対に、脳内のセロトニンが不足すると不安感が増して、イライラや不眠、疲労感、頭痛などの抑うつ症状も出てくるといわれます。実際、うつ病の人の脳では、セロトニンの分泌が非常に少なくなっていることがわかっています。
 

気持ちが明るく前向きになる「セロトニン」は、元気脳には欠かせない物質といえます。このセロトニンは、トリプトファンといわれる必須アミノ酸の一種から生成されます。必須アミノ酸とは、体内で合成できない種類のアミノ酸のこと。したがって、セロトニンを増やすには、食事からトリプトファンを摂ることが重要になってきます。

 

トリプトファンは牛や豚の肉やカツオ、マグロなどの赤身魚、乳製品に多く、大豆製品やナッツ類、バナナなどにも含まれているそうです。

トリプトファンを取り込むには、これらの食べ物を一気にまとめて食べるよりも、毎日こまめに摂ることが大事といわれます。また、セロトニンを合成するときには、ビタミンB6(ニンニク、レバー、マグロ、カツオなど)、ナイアシン(レバー、肉類、魚類、キノコ類)、マグ ネシウム(豆類、海藻類など)も必要になるといわれています。

 

極端なダイエットをしている人や偏った食生活をしている人は、食事から十分なトリプトファンが摂れていないことが多く、結果としてセロトニンも十分に分泌されないということになります。最近、発想が後ろ向き、気持ちが落ち込みやすい、なんだかうつっぽいと感じている人は、肉や魚を食べていないのかも しれません。

 

肉を食べると、ハッピーになれる!

そんな気分の落ち込みを回復したい、自分を元気づけたいというときに食べたいのが、トリプトファンを多く含む食材の中でも、やっぱり牛肉や豚肉です。

牛肉や豚肉には、アラキドン酸という脂肪酸が含まれていて、アラキドン酸の一部は脳内で「アナンダマイド」という物質に変化します。この物質はセ ロトニンと同様に幸福感や高揚感をもたらすことで知られています。ちなみにアナンダマイドという言葉は、古代インドの言葉であるサンスクリット語で「至福物質」という意味なのだそうです。

ここまでさまざまなホルモンや栄養の話を書いてきましたが、簡単にいえば「肉を食べると幸せな気持ちになる物質が分泌される」ということなのです。

 

あなたが何かの理由で気持ちが凹んでいるときは、おおいに肉を食らうのが最大の処方薬ともいえるのです。焼肉店に行くのもいいでしょう。ステーキなど分厚い牛肉を焼いてもらうのもいいかも。お肉屋さんで買って家で好きなだけ食べるのもいいでしょう。肉は落ち込んでいる自分へのご褒美、エネルギーチャージです。

 

ジュウジュウ焼いて、思い切りほおばる。口中に肉汁がジュワッと広がる幸せ感にひたりながら「がんばれ、自分!」と脳を元気づけてあげましょう!

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。