
親が認知症だと気づいたら――対策編
前回のコラムでは、親の認知症のサインについて解説しました。では、親が認知症と疑われたときは、どうしたらよいのでしょうか?
早めの受診で進行を遅らせたり、種類によっては治る認知症も
実は認知症にもいくつか種類があります。もっとも多いのが脳の神経が死んで脳全体が萎縮する「アルツハイマー型認知症」。認知症の約半分以上を占めています。
次いで多いのがレビー小体という神経細胞にできる特殊なたんぱく質によって起こる「レビー小体型認知症」です。この病気は物忘れよりも幻視がみられるのが特徴で、パーキンソン病のような症状(動作が遅くなる、転びやすくなるなど)も出てきます。
そのほかにも、脳梗塞や脳出血、クモ膜下出血などによって起こる「脳血管性認知症」、前頭葉や側頭葉の萎縮によって起こる「前頭側頭型認知症」など、ほかにもさまざまなものがあります。
認知症治らないといわれていますが、認知症の症状があってももとの病気を治すと治ることもあります。また、進行型の認知症でも、早期に治療を行えば、進行を遅らすことができますし、認知症の薬は早く使いはじめるほうが効果的といわれています。
「もしかして、うちの親、認知症かな」と思ったときは、早めに医師の診察を受けることをおすすめします。
まずはかかりつけ医や市区町村で相談を
といっても親を受診させるのはなかなか難しいもの。認知症は「神経内科」、「精神科」、「もの忘れ外来」、「認知症外来」などで診てもらいますが、 本人は認知症の自覚がありませんから「なぜ自分がそんなところに行かなくてはならないのか」と親が受診を拒否するケースが少なくありません。こんなとき に、無理強いしたりウソをついて病院へ連れていくのは逆効果。親はますますかたくなになって断固受診を拒否するようになってしまうそうです。
親が受診をいやがるときは、まずは家族だけでかかりつけの主治医に相談に行って、そののち主治医から本人に病院をすすめてもらうのもひとつの方法です。また、病院の老年科などを受診して、一般的な健康診断を受けてから、認知症の専門科へ移行する方法もあるようです。
どうしても病院が嫌という場合には、市区町村の福祉窓口や地域包括支援センターに相談すると、対処法のアドバイスをしてくれるはずです。
子どもとしては、なかなか親の認知症は認めにくいものですが、認知症のことをよく理解して、早めに適切な対応をしてあげたものですね。
<参考URL>
●政府広報オンライン「あしたの暮らしをわかりやすく」 http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201308/1.html
●厚生労働省「知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス/認知症」
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_recog.html
●公益法人 認知症の人と家族の会
http://www.alzheimer.or.jp/?page_id=3093