
熱愛結婚は気持ちが冷めるのも早い?
前回は、ふたりの間に立ちはだかる障害が多いほど、互いの恋愛感情が強まり、熱愛度が高まる「ロミオとジュリエット効果」についての話でした。今回は、「熱愛カップルのその後」についてご紹介します。
大恋愛のふたりがなぜスピード離婚?
周囲から猛反対されたふたりが、数々の障害を乗り越えてついに結婚!……「めでたし、めでたし」のお話なのですが、問題はその後の結婚生活。大恋愛の末に結婚したふたりなのに、結婚してほんの数か月であっという間のスピード離婚、というケースも少なくありません。
スピード離婚の原因は、「性格の不一致」といえばそれまでですが、よくよく聞いてみると「片付けができない」、「だらしない」、「食べ方が汚い」、など、意外と細かい生活習慣の違いだったりすることもあります。
結婚前と結婚後のギャップが大きいほど、落胆も大きい
心理学用語に「ゲインロス効果」という言葉があります。ゲイン(獲得)とロス(損失)を組み合わせた言葉で、このゲインとロスのギャップが大きいほど、人は大きな影響を受けるという心理をいい表したものです。
ゲイン効果は、ある人の印象と異なる一面を見せられたときにその人に対する評価が高くなることで、たとえば、いつも強気な彼(彼女)が弱気な一面を見せたりすると、その人が急に身近に感じられて、好きになってしまう心理もそのひとつ。
ロス効果は、その反対です。最初に相手に対する期待が高かった場合は、それと異なる一面を見せられると、必要以上に落胆するとされています。
スピード離婚の場合は、まさにこのロス効果が働いて、「結婚前と後では大きなギャップがあった」ということになるのでしょう。
ことに障害が多かった熱愛カップルほど、「ロス効果」が強く働く傾向があるといわれています。
周囲から反対されているときは、相手の好ましい部分しか見えません。けれども、結婚して平穏な日々が訪れると、あれほど輝いて見えた相手がくすんで見えて、相手の欠点や嫌なところも次々と目に入るようになります。
そうなると、「こんなダメなところがあった」「あんな嫌なところがあった」と、相手を減点法でみていくようになります。
相手を減点方式で見ていくか加点方式で見ていくか
実は、結婚は多かれ少なかれゲインとロスの繰り返しというところがあります。
だれもがバラ色の結婚生活を夢見ます。けれども、これまで別々に生活していたふたりが、一緒に暮らすのですから、意見の衝突や価値観の違いもありますし、そこには当然、我慢しなくてはならない部分も出てきます。
周 囲の反対を押しきって熱愛中のカップルほど、「とにかくふたりで暮らしたい」思いから、結婚を目標にしがちですが、結婚はゴールではなくてスタート。じつ はここから長い結婚生活がはじまります。結婚生活はバラ色の「夢」でなく「現実」であることをしっかりと認識しておいたほうがよさそうです。
ちな みに美男美女は「ロス効果」が働きやすいといわれています。美男美女はそのルックスで得をするといいますが、見た目が美しい分、いびきをかいたり、身だし なみに気をつけなくなったり、とフツーの日常が見えてくるとそのギャップにがっかりされることが多いといいます。美男美女もそれなりに苦労が多いものです ね。
ところで、熱愛カップルとは対照的に、長続きするカップルもいます。
たとえばお見合い結婚がそのパターン。燃えるような恋ではなかったけれど、結婚して一緒に生活するうちに、相手のよい面が発見できて絆が深まっていくことも多いそうです。この場合は、「ゲインロス効果」のうちの「ゲイン効果」が働いているのかもしれません。
結婚生活は、できれば減点方式ではなく、こんなふうに加点方式で行きたいものですね。
<参考資料>
・『恋愛心理学』(ナツメ社:匠英一)