飲めば飲むほどノドが渇く清涼飲料水のナゾ?
まだまだ暑い日が続く中、ノドの渇きを癒すために清涼飲料水が手放せない人も多いでしょう。でもご用心! 清涼飲料水の種類によっては飲み過ぎることで体に害をなすものもあるらしいのです。さらに飲めば飲むほどノドが渇くという困ったことも起こるといいます。渇き対策の必須アイテムである清涼飲料水について考えてみました。
●清涼飲料水の成分表示「炭水化物」の正体は・・?
コーラやラムネなどの炭酸飲料はもちろん、ミネラルウォーター、スポーツドリンク、緑茶、果汁の入った飲料や缶コーヒー、乳酸(菌)飲料など、さまざまな清涼飲料水が市販されています。いまや生活には欠かせません。
そんな清涼飲料水ですが注意したいことがあります。飲み過ぎです。ふだんはあまり意識することがないのですが、コーラやサイダー類、果汁入りのジュース類などには想像を超えた多量の糖分が含まれているのです。
ふだんよく飲む清涼飲料水の栄養成分表示を見てみてください。エネルギー、たんぱく質、ナトリウムなどに混じって、「炭水化物」という表示があります。ここでいう炭水化物は「食物繊維と糖質」なのですが、清涼飲料水には食物繊維がほとんど含まれていませんから、この場合の炭水化物は糖分の量を示しています。
ではどのくらいの量の糖分が入っているのか? 簡単に計算ができますから、いつも飲んでいる清涼飲料水の糖分をはかってみてください。
・・糖分の量を調べる計算式は以下の通りです。
[内容量÷単位量×単位当たりの炭水化物の量=糖分]
たとえば、ある果汁入り清涼飲料の栄養成分表示に「炭水化物10.7g」(100㎖当たり)とあったとします。容量は430㎖とします。この数値を上記の計算式で計算します。
[430÷100×10.7=46.01g]
この果汁入り清涼飲料を1本飲むと約46gの糖分を摂取するということです。これは上白糖なら大さじ5杯(1杯=9g)、スティックシュガー(1本=3g)に換算して15本(!)にもなります。
●飲むたびにノドが渇く悪循環の理由とは?
ご存知のように糖分の摂り過ぎはメタボの原因になりますが、他にも血糖値の急激な上昇と低下のくり返しによる疲労感や手足のむくみ、集中力の低下、気分の落ち込み、協調性の低下といったトラブルを招くこともあるということです。
それにしても清涼飲料水にこんなにもたくさんの糖分が入っているのに「甘過ぎて飲めない」とならないのはなぜでしょう? じつは低温だと舌が「甘さ」を感じにくいのです。試しに同じ清涼飲料水を常温にしてから飲んでみてください。甘過ぎて飲めないことがわかります。また清涼飲料水に入っている香料や酸味料などの添加物が甘さを感じにくくさせているようです。
さらに、甘い清涼飲料水は、飲むことによってノドが渇きやすくなるといわれています。つまり、清涼飲料水を飲む→血糖値の急激な上昇→ノドが渇く→さらに清涼飲料水を飲む→さらに血糖値が上昇→またノドが渇いて清涼飲料水を飲む・・という負のスパイラルにおちいる危険があるというのです。
ノドが渇いたときの甘い清涼飲料水のがぶ飲みが、いかに危険かおわかりになったと思います。(*以前本コラムで紹介した「ペットボトル症候群」もあわせてご覧ください)
ではふだんの水分補給には何を飲めばいいのか。スポーツや屋外での作業などで汗を大量にかいたときは別ですが、デスクワークが中心の仕事でちょっと外に出て汗をかいてノドが渇いた程度なら、水かお茶で十分といいます。熱中症予防のためにはスポーツドリンクがいいということで、それほど汗をかかないのに飲み続けると、やはり糖分の摂り過ぎになりかねません。
さらに昼食後や仕事帰りにコーヒーショップに寄って「抹茶ラテでも」ということになれば、またここでも糖分の問題が・・。
とはいえ、あれもこれも「ダメダメ」というのはあまりにも無粋というもの。これらの飲みものはあくまでも「嗜好品」と考え、たまに飲む程度にしたほうがよいのかもしれないですね。とはいえ、糖分だけあってこの悩みは当分続きそう・・(?)
<参考URL>
*「清涼飲料水の飲み過ぎに注意」(全国健康保険協会広島支部)
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/hiroshima/cat070/hokendayori/h24/3645-106298
*「暑い日はペットボトル症候群に注意」(糖尿病ネットワーク)
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2007/005660.php
*「清涼飲料水を知る」(一般社団法人全国清涼飲料工業会)
http://www.j-sda.or.jp/learning/