
「見込みのない恋愛」の見切りどきはいつ?
たとえば、おいしいと評判の店にはるばる電車を乗り継いでやってきたとします。でも実際、ひと口食べたら「まずい!!」こんなときあなたならどうしますか?
食べるのをやめてさっさと会計をすませて店を出る。それとも「せっかく時間とお金をかけて来たのだから」としぶしぶながら最後まで食べて帰る・・どっち?
「失った損失」を考えると、合理的な判断ができなくなってしまう
プライベートでも仕事でも「ここまでお金や時間を使って頑張ったのだから、途中でやめられない」といったことはないでしょうか。
これは、経営学や経済学の用語で「サンクコスト(埋没費用)」効果といわれるもの。サンクコストとは、事業に投下した資金のうち、事業の撤退や縮小を行ったとしても回収できない費用をさします。続けることで損失が出るのはわかっていても、サンクコストがあることで合理的な判断ができなくなってしまう心理が「サンクコスト効果」です。
ギャンブルや株の投資で「お金をこれだけつぎ込んだのだから、元を取るまでやめられない」と、ますます深みにはまっていくのもこの心理。失った費用が大きければ大きいほどサンクス効果が強く働いて、損失が拡がっていきます。
最初の「評判の店に苦労して入ったけれど、まずかった」例でいえば、合理的に考えれば、これ以上損失を膨らませないためには、今すぐ店を出るのが正解です。「期待していたのに」というがっかり感を消すには、気分転換によそでおいしいものを食べ直したほうがいいかもしれません。
ところが多くの人は失った損失――つまり店に来るまでに費やした時間やほとんど食べずに支払う食事代などのサンクコストが惜しく感じられてしまう。その結果「せっかく来たのだから」と店にとどまる選択をし、無駄な時間を費やし、おいしくもない料理でおなかを満たしてしまうことになるわけです。
男女間でもある「サンクコストの呪縛」
この「サンクコストの呪縛」は、男女の恋愛関係においてもしばしば陥りがちな心理です。
たとえば、結婚できる見込みもないのに「これまで何年も付き合ってきたことを考えると、今まで費やしてきた年月が惜しくて別れられない」心理がそれ。
サンクコストの中身は、人それぞれで、相手に尽くしてきたことだったり愛情だったり、「ズバリ、これまで相手にさんざんお金を貢いできた」人もいるかもしれません。
どう考えても明るい将来は見えてこないのにズルズルと付き合ってしまう心の動きの背景には、自分の行動の失敗を認めたくない心理が働いているといいます。
では、この「サンクコストの呪縛」を最小限にとどめるのには、どうしたらよいのでしょう。
株式投資の世界には「損切」という言葉があります。損失を最小限にとどめるために、「また値あがるかもしれない」といった根拠のない期待はやめて、損失額の少ない段階で株を処分することをいいます。
恋愛を冷静に見極めるのはむずかしいものですが、見込みのない恋愛は、思い切って「損切」をすることも必要です。年齢のことなどを考えると、この人と別れたら新しい彼はできないんじゃないか、と考えてしまいますが、がまんしてズルズル付き合っているのでは明るい未来など待ち受けていません。潔く見切りをつけると、案外新しい恋がすぐそこに待っているかもしれません。
<参考URL>
*「埋没費用」ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9F%8B%E6%B2%A1%E8%B2%BB%E7%94%A8
*「損切ラインの決め方3つの視点」ALL about
http://allabout.co.jp/gm/gc/19602/