女性も油断大敵「糖尿病」。妊娠中と更年期は要注意!
糖尿病はメタボの中年男性がかかる病気。女性は関係ないと思っていませんか? 糖尿病患者は男性のほうが多いとされていますが、全年齢でみると男女比にあまり大きな差はないようです。年々増加傾向にある糖尿病。あなたは大丈夫ですか?
女性は糖尿病にかかりにくい?
デスクワークで運動不足、忙しいから朝食は抜き。食事はつい外食やコンビニ食。仕事のストレスで、ついついお酒も増えてしまう・・現代人にありがちなライフルタイルですが、社会環境やこうしたライフスタイルから糖尿病にかかる人が年々増加傾向にあるといわれています。それは女性も例外ではありません。
厚生労働省が3年ごとに実施している患者調査によると、平成26年調査では糖尿病の患者数は316万6,000人。前回の調査から、46万人以上も増加しています。性別でみると、男性176万8,000人、女性140万1,000人で、前回の調査に比べて男性で約30万人、女性で約20万人増加しているそうです。
糖尿病の患者の数は男性のほうが多いのは確かですが、この数字を見る限り、糖尿病は決して女性に無縁の病気とはいえません。
女性は更年期からリスク大
糖尿病は、男性は40代から急増します。あわてる男性を尻目に、同年代の女性はメタボの人も少なく、糖尿病はまだまだ他人事だと考えている人が多いようです。しかし、油断は禁物。40代後半からは女性は更年期に突入します。
閉経前は、女性ホルモンのエストロゲンのおかげで、皮下脂肪はついても内臓脂肪はつきにくい傾向がありましたが、更年期以降はエストロゲンの減少で男性並みに内臓脂肪がつきやすくなるのです。
また、エストロゲンは血糖の上昇を抑える働きもあるので、エストロゲンの分泌が減る更年期からは、血糖値も上がりやすくなり、糖尿病のリスクが増えるというわけです。
更年期といえば、イライラやのぼせやほてりなどの目だった症状に目を奪われがちですが、その水面下では、糖尿病をはじめとする生活習慣病が進行しがち。
更年期以降あわてないためにも、若いころから生活習慣に気をつけて、40代になったら本気で生活習慣病予防に取り組む必要がありそうですね。
女性特有の「妊娠性糖尿病」
ところで、更年期とは別に女性特有の糖尿病があります。それが、妊娠性糖尿病です。妊娠性糖尿病とは、妊娠前は糖尿病がなかった人が、妊娠を機に妊娠中に血糖値が高くなるなどの糖代謝異常が発症することをいいます。妊娠性糖尿病になると、難産、巨大児などさまざまなトラブルが起こりやすくなります。妊娠性糖尿病の多くは、産後は自然に治りますが、そのまま糖尿病に移行するケースもあるそうですから、油断はできません。
また、妊娠性糖尿病になった人は産後に治っても、将来糖尿病が発症しやすい傾向があるとされています。妊娠糖尿病になりやすいリスクファクター(危険因子)として、糖尿病の家族歴、肥満、35歳以上の年齢などがあげられていますから、心あたりのある人は今から対策をたてましょう。
いずれにしても、女性ホルモンに守られている女性は、男性に比べると今ひとつ糖尿病に対する危機感が少ないようですが、妊娠中や更年期以降は、糖尿病のリスクが高まることを頭に入れておきたいもの。糖尿病は一度発症すると治らない病気だといわれていますから、発症リスクが高いと思われるときは、水際でなんとか発症を食い止めたいもの。とくに家族で糖尿病の人がいる場合は、糖尿病の発症リスクが高いといわれますから、若いときから定期健診を受けて、しっかり健康管理を心がけたいものですね。
<参考資料>
*「更年期障害 これで安心」(小学館:堀口雅子監修)
*「産後ママの体と心 トラブル解消BOOK」(NHK出版:対馬ルリ子監修)
<参考URL>
*糖尿病を知る・学ぶ(糖尿病ネットワーク)
https://info.ninchisho.net/diabetes/category/knowledge
*生活習慣病の調査・統計(日本生活習慣病予防協会)
http://www.seikatsusyukanbyo.com/statistics/2016/009087.php